高給キーエンス出身の彼が退職し起業する理由

日本屈指の優良企業を離れ、求めた自由とは

高給取りで知られるキーエンス。数年で退職し起業という道を選んだ20代元社員に話を聞きました(撮影:尾形文繁)

上場企業の平均年収ランキングでは毎年上位に入り、多くのビジネスマンが知るキーエンス。

自動制御機器や計測機器・顕微鏡などの開発や販売を行うキーエンスですが、2019年6月に公開された有価証券報告書によると、平均年収は2110万円とされています。業界はもちろん、国内の企業で比較しても圧倒的な高水準です。

「入社1年目でも、年収は700〜800万円に到達していたと思います。個々の成績にもよりますが、入社2年目には年収1000万円以上でした」

そう語るのは、新卒でキーエンスに入社した井上さん(仮名)。現在、20代後半の彼はキーエンスを退職し起業を決意しました。トップキャリアの道から、さらなるビジネスの荒波へ飛び込む井上さん。彼にキーエンスという企業を選んだ経緯と、なぜそこを離れる決断をしたのか聞きました。

強いマネーモチベーションが引っ張った就職活動

まず志望動機。それは強いマネーモチベーションでした。大学時代は同級生と話すたび、「たくさんお金を稼ぎたいね」「こういう高級車に乗りたいよな」と語り合っていました。井上さんの家は、決して困窮していたわけではありません。それでも子どもらしいお金の使い方ができなかったと、当時を振り返ります。

「今でも覚えていますが、幼少時代に近所のスーパーのゲームセンターへ行っても、他の子が楽しむところをずっと眺めているだけでした」

ゲームやマンガという娯楽も、友人は持っているが自分は持っていない。そんな思い出から、自分で自由に使えるお金を稼ぎたいという、就職活動における軸ができていました。

ビジネス誌を手にとっては、年収の高い企業ランキングをチェックし、上位順に応募する就職活動。複数の内定先を得た中で、もっとも年収の高い企業が、キーエンスだったと話します。

「面接内容も、特別なものではありませんでした。会社説明会では、事業内容や年収の話はまったくなくて。グループワークやゲームをして、最後に20秒で自己PRを行いました。のちにそれが一次選考だと告げられて、二次選考以降も、コミュニケーション主体の面接が続きました」

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