高給キーエンス出身の彼が退職し起業する理由

日本屈指の優良企業を離れ、求めた自由とは

そんな時、目についたのがキーエンスの創業者である滝崎武光氏や、実業家の前澤友作氏でした。

自分とは違い、世界に大きなインパクトを与え、ケタ違いの生活を送る人々。

「彼らのように、一国一城の主として自分の実力を証明したい。それでは今の安寧とした立場ではダメだと思い、独立を決断しました」(井上さん)

亜流として、さらなる自由のために稼げる道を

前回記事(『20代で1000万稼ぐ若手社員の意外と知らない姿』)ではトップキャリアの20代を3つのパターンに分けて紹介しました。

そこで取り上げたガッツタイプ(外資生保・不動産)の若手社員は高単価の商材を扱い、高い営業力を求められます。彼らは営業の業務内容が中心になるため、入社4年〜5年目あたりから転職をする人が多い傾向があります。

ただ、高い営業力を求められるキーエンスを退職し、独立する人は決して多くありません。興味のある業界をチェックしつつも、今と同じ生活水準を維持できないと知り、踏みとどまります。

井上さんが上司に退職の意思を伝えた時も、驚かれたそうです。

「誤解を恐れずに言うと、キーエンスは日本一、年収1000万以上を目指すのが簡単な会社です。営業成績に収入は左右されるけれど、商材もやることも決まっています」。実際に、そこで営業マンとしてスキルを磨き続け、家庭を持つ人が多くいます。

しかし井上さんにとって、その生活すら「不自由さ」がありました。物欲がモチベーションの大半を占めていた、学生時代の井上さん。現在は自分の人生の制限を外し、より大きな自由が実現できる生き方を求めています。そのためには、もっと稼がないといけない。

「僕の考えは、キーエンスでは亜流だと思います」

そう語る井上さん、起業後のビジネスもほぼ決まり、今は自分の目標への道のりを考えながら過ごしています。

20代のトップキャリア人材は、個性や強みを生かしつつ、それぞれの志向性や得意領域で高い報酬を得ています。彼らは華々しいライフスタイルを送る一方で、重い責任や次のキャリア形成に対して、不安を抱えている人もいます。そこで、キーエンス出身の井上さんは起業という道を選びました。 

もちろん起業という選択もすべてが自由というわけではなく、重い責任はつきまといます。著者自身も2012年に転職エージェントとして20代で独立起業しましたが、まずは安定的に食べていくために必死でした。今回の井上さんのようにお金=自由とは限らず、自分の意思で人生を切り開いていく事こそが本当の自由と言えるのかもしれません。起業家としてのこれからの井上さんの挑戦を応援したいと思います。

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