イタリア製バイク「MVアグスタ」のデザイン思考

ブルターレ800ロッソ高い性能でリーズナブル

さらには、タンク前部左右にむき出しにデザインされた吸気ダクトから聞こえる吸気音が秀逸だ。これは、初代ブルターレや「F4セリエ・オロ」のデザイナーを行ったマッシモ・タンブリーニ氏こだわりのアイデア。

つまり、この吸気サウンドこそがオーナーだけが楽しめるサウンドと彼は名言を残している。本当にバイクを知りバイクを愛する男だからこそ知る喜びだ。3本エキゾーストとタンク前部左右2カ所から聞こえる吸気サウンドとのハーモニーは官能的ともいえる。その哲学は確実に2002年発表の初代ブルターレから受け継がれている。

ハンドリングは現代のストリートファイター系で、敏感すぎるほどアグレッシブだ。車重の軽さと相まってロール方向への加重移動は800ccのマシンである事を忘れさせられる。また、ピッチ方向では加速時におけるハンドル加重変化に最初は戸惑うが、不安定なわけではなく、むしろこのマシンの楽しみの1つは加速時のアクセラレーションだろう。

MV AGUSTAのBRUTALE 800 ROSSOの筆者による試乗風景(東洋経済オンライン編集部撮影)

対して、フロントのブレンボ製4ピストン ラジアルマウントキャリパーや320㎜ フローティングダブルディスクは、圧倒的な制動を実現している。

この辺りはキャスターアングルやエンジン搭載位置にもよるが、ブレーキングスタビリティーも含めフロントエンドに好感が持てる。

つまり、このアップライトなポジションにクランクマスの少ないレスポンスの良いエンジン、過不足なく作動感の高い前後サスペンション、制動力抜群のブレーキ性能の安定性が市街地での喜びを増幅してくれる。

デビューマシンとしても満足できる1台に

一方、サーキットでの走行ではそのアグレッシブなハンドリング性能が、高速コーナーなどでは多少敏感に感じる事もあった。もちろん、幅広なハンドルを含めたポジションでフロントに対しての加重移動に付いては、低い位置にセットされたクリップオンハンドル採用のスーパースポーツマシンほどは期待出来るわけでもない。

とはいえ、不満と言うほどではないので誤解なく。サーキットでの評価軸がどうしてもスーパースポーツとの比較をすれば……と言う意味合いだ。

このブルターレ800ロッソは名前の通り深紅のカラーを与えられたイタリアンテイストマシン。ベテランライダーが大型ネイキッドマシンからの乗り換えで有れば新しい世界を感じる事ができるだろう。一方、ルーキーライダーのMV AGUSTAデビューマシンとしても軽さ・出力・存在感に加え所有感をも満足させてくれる1台だ。

国内での販売は30台を予定しているが、現在入荷済みは10台。残り20台は新型コロナの収束次第だろう。

(走行は都内全般・袖ヶ浦フォレストレースウェイにおいて3月24日までに実施)

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