アコーディアがぶち上げた「究極の焦土作戦」 ゴルフ場を切り売り、筆頭株主レノから自己株買い
アコーディアが8月上旬をメドに行う自己株式の公開買い付けは、総額450億円以上(1株1400円)。同社の発行済み株式数の30%超に及ぶ大規模なものとなる。ただ、アコーディア株の24%を保有する筆頭株主のレノグループがこの公開買い付けに応募する意向を示しているため、一般投資家も含めて応募が殺到した場合、按分比例での買い付けにならざるをえないと予想される。
レノグループとは、かつて村上世彰氏が代表を務めた「村上ファンド」の幹部・三浦恵美氏らが率いる投資会社。アコーディアが同業大手のPGMホールディングスに敵対的TOB(株式公開買い付け)を仕掛けられた2012年末、アコーディアの筆頭株主に突如浮上して話題を呼んだ。レノグループがアコーディア株を買い集めたことで株価が急上昇し、結果的にPGMによるTOBが失敗した面もある。レノは投資会社であり、その出口戦略が焦点になっていたが、今回のスキームは、まさに格好の出口戦略といえる。
会見後、記者の単独取材に応じた鎌田社長は「レノには基本的に全株を応募してもらえるとみている」との見通しを明らかにした。一連のアセットライト戦略の背景には、筆頭株主のレノグループをめぐる思惑があることは間違いない。
年商規模は半分程度に縮小
ゴルフ場というコア資産を売却してしまった後のアコーディアの業績は、いったいどうなるのか。投資家の間には、その点がはっきり見えないことに対する不安もある。
まもなく決算期末を迎える2014年3月期のアコーディアの業績見通しは、会社計画によれば、売上高(営業収益)が942億円、本業の儲けを表す営業利益が150億円。売上高のうちゴルフ場運営収入が615億円と7割近くを占める勘定になっている。
ところが、アセットライト戦略により、保有するゴルフ場133コースのうち90コースを売却した場合、これまで全額計上していたゴルフ場運営収入はSPCに帰属し、アコーディアにはSPCからの運営受託収益(ゴルフ場運営収入の一部)しか入らなくなる。資産切り離し後のアコーディアの売り上げ規模は年商500億円前後まで縮小する可能性がある。
一方、ゴルフ場にかかわる人件費や物件費、減価償却費なども切り離される(SPCのコストになる)ため、SPCからの運営受託収益は金額は小さくても利益率が高い。経常利益の段階では、25%超の出資を見込んでいるビジネストラストからの分配収益も乗ってくる。自己株式買い付けで自己資本が大幅圧縮されることもあり、投資効率を示すROE(自己資本利益率)は「現状の6.5%から10%弱へと大きく改善する」(鎌田社長)。
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