日経平均が年末まで2万円超になると読む理由 下値リスクが残る時にどんな投資をすべきか
ところが、想定外なのは、悪材料だけではない。日米欧などの諸国で、さまざまな対策が打ち出されている。たとえばFED(米連銀)がこれほど急速に政策金利をゼロにまで引き下げる、というのは、誰も想定していなかっただろう。想定外の悪材料だけをことさらに注目し、想定外の好材料を軽視するのは、バランスを欠いている。
当初は経済対策について、市場は冷たい反応だった。なぜなら、連銀の緊急利下げのように「マクロ的に(全般的に)経済を支えよう」、という策が中心だったからだろう。ところがその後は、最前線で戦っている医療への支援や、経済的に打撃を受ける産業・企業、ならびにそこで働いている労働者といった、痛みの大きいところに向けた策が、次々と打ち出されてきている。
財政面では、打撃の大きい産業や基盤が弱い中小企業に向けての補助金や低利融資、減税、税納入期限の延期、労働者への所得補填、雇用を維持しようとする企業への支援、失業保険の増額などだ。金融政策も、企業の資金繰りを支援するため、CP(コマーシャルペーパー)や社債の買い入れなどが実施、あるいは検討されている。
リーマンショック時の経済政策との違いは?
加えて、今回の経済対策を、2008年のリーマンショック時と比較することには、かなりの意味があると思う。
リーマンショックの際は、アメリカの政府・中央銀行の対応に、失策があったと考える。リーマンブラザーズが経営危機に陥った際は、米政府・連銀は「私企業を救済することはできない」として、他の民間金融機関への同社の売却を仲介はしたものの、公的資金の注入には後ろ向きだったと言われる。
そのため、リーマンブラザーズは2008年9月に破綻申請に追い込まれた。これが、他の金融機関の破綻を連鎖的に引き起こすとの懸念を広げ、世界的な混乱を招いたと言える。
これに対して今回は、企業の資金繰り倒産の恐れを政府・中央銀行が想定し、すでに前述のような資金繰りの改善策を打ち出している。リーマンショック時の反省を、アメリカの政府・中央銀行は、活かしていると言える。
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