5G時代スタートも、乏しい通信大手の「差別化」 3社とも料金プラン出すが、決定打に欠ける

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そもそもネットフリックスやアマゾンプライムは、KDDIやドコモの独占ではない。他キャリアの利用者も料金を払って個別加入さえすれば使えるものが、割り引きされて組み入れられているにすぎない。

有力なコンテンツを持つOTTプレーヤーほど、供給先を絞って視聴者を減らすことに意味はない。こうした点を踏まえれば、今後それらが特定のキャリアだけの配信になることは考えにくい。

通信業界に詳しいMM総研の横田英明常務は「決定的なサービスはまだ登場しておらず、5Gでも当面は引き続き料金面の勝負がメインになるだろう」と予測する。

ドコモはテザリングを無制限に

一見似通った3社の最大容量プランだが、細かく比べると微妙な違いも見えてくる。

例えばドコモは、キャンペーンが終わらない限りテザリング(通信契約を結ぶスマホをWi-Fiルーター代わりにパソコンなどの端末をネットにつなげること)も無制限とし、上限ありのKDDIや、テザリング自体に別途料金を課すソフトバンクとは差がある。現実的にはこうしたコストパフォーマンスが、競争力を左右するかもしれない。

5Gのサービス開始当初は3社とも対象の通信エリアは狭く、都市部のごく一部に限られる。全国的に広く使えるようになるまでには、まだ数年はかかる。

今後、エリアや利用者数の拡大とともに新たなサービスが生まれて差別化要素になる可能性はあるが、現時点で大きなものは見当たらない。従来の料金メインの競争がサービスメインに変わるとしても、転換点はまだまだ先になりそうだ。

奥田 貫 東洋経済 記者

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おくだ とおる / Toru Okuda

神奈川県横浜市出身。横浜緑ヶ丘高校、早稲田大学法学部卒業後、朝日新聞社に入り経済部で民間企業や省庁などの取材を担当。2018年1月に東洋経済新報社に入社。

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