「10年後に稼げない人」と稼げる人の決定的な差 AI、ロボット化でも生き残れる仕事の条件

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一方、右側の「人間に残る職業」のなかには「手先ジョブ」がある。技能集約的で、人間の強みがあるものの、顧客からすれば人間でも機械でもどちらでもよく、技術的に機械化が不可能だからこそ人間の業務として永遠に残り続けるもの。

このエリアのうち、低スキルの仕事には、外国人労働者を受け入れている全14業種(農業、建設業、宿泊業、外食業……)のうち介護を除く13業種がまるまる入る。高度な日本語は使われず、人手を使ってしかできない類の仕事だ。

このエリアは、「Uber Eats」配達員のような個人事業主、または不安定な非正規雇用が多く、将来的には一部機械化の実現で人員削減も行われるため、「低位不安定」といえる。10年単位で見ると、特段のブレークスルーはないものの、着実に精密農業化(野菜工場)や配送センター倉庫の自動操業化(マテハン機器の進化)が進むことによって、少しずつ雇用が減り、賃金も上がらない。(284ページより)

こうした手先ジョブは就業人口が多かったものの(26.8%、1577万人)、さらに増えたあとでニーズが減っていくとなれば、時給もほぼ底辺にへばりついてしまう。学生のアルバイトや一時的なつなぎとしてはいいかもしれないが、何年もどっぷり浸かってしまうのは危険だということだ。

言うまでもなく、スキルの蓄積が一切見込めない(人間なら誰でもできる)からだ。長期的に続けてしまうと、蟻地獄のように抜けられなくなってしまうのである。したがって、ほかのエリアへと早期にシフトすべきだと渡邉氏は警鐘を鳴らしている。

職人プレミアムが「逃げ場」になる

「職人プレミアム」の職業は、人間にしかできないものなので、雇用の安定度は高い。例えば、最も人数が多いのは料理人(183万人)だ。

調理人といっても、自動製造機を導入したチェーン店などのそれとは話が別。バリューがあるのは、手間をかけて工程を重ねていく古来の料理人の仕事である。とくに食材が四季によって大きく変わる日本において、それはまさに人間にしかできない作業。客がそこにプレミアム(付加価値)を感じ、お金を払い続けるという仕組みだ。

その他、看護師・介護福祉士・保育士など、人間にしかできない“対人感情ボディワーク”に手堅いニーズがある医療福祉系、あるいは“対人ラストワンマイルワーク”である外勤営業職がこのエリアに収まる。

警察・消防・自衛隊など現業系の公務員も一定数が存在しており、国家が存在する以上は必要不可欠。このエリアの職種にはAIが入り込む余地がほとんどないため報酬水準は「中位安定」となり、コミッション制の営業職(車・家・保険)など、成果に応じて高収入が期待できる仕事も残るという。

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