タダ働きが露見した「自販機品切れ闘争」の真実

有給を取得できず、日常的なパワハラ行為も

2018年に起きたJR東京駅構内での自動販売機売り切れ続出の背景には、日常的なパワハラや長時間勤務に苦しむ労働者たちの順法闘争とストライキがありました(写真:AP/アフロ)
1970年代をピークに減少した日本のストライキだが、近年再び盛り上がりを見せている。NPO法人「POSSE」代表理事、今野晴貴氏著『ストライキ2.0 ブラック企業と闘う武器』 の内容を一部抜粋・再構成し、順法闘争とストライキに訴える労働者たちの現状に迫る。

2018年4月18日、JR東京駅構内の自動販売機で売り切れが続出しているという情報がインターネットを駆け巡った。きっかけは労働組合「ブラック企業ユニオン」による次のツイートだ。

東京駅をご利用の皆さんにお知らせしたいのですが、駅構内の自販機で現在「売切」が続々と発生中です。これは自販機大手ジャパンビバレッジで働くブラック企業ユニオンの組合員が、残業代未払いや組合員の懲戒処分に対し、残業ゼロ・休憩1時間の「順法闘争」で闘っているためです。ご理解ください。

写真付きでストを告知したこのツイートは瞬く間に拡散し、およそ5万6000リツイートされ、4万4000の「いいね」がつけられた。実際、ホームによってもばらつきがあるが、駅構内の設置場所によってはかなり売り切れが目立っていたようで、ひどい場合には1台あたり7つも「売切」の赤いランプが点灯していた。これは普段の東京駅ではほとんど見かけることのない光景だ。

残業しないと自販機の補充が追いつかず

このような事態が起きたのは、JR東京駅構内の自動販売機の補充を担当する、サントリー食品インターナショナルグループの自動販売機大手「ジャパンビバレッジ東京」に勤務する社員十数名が労働組合に加盟し、「順法闘争」を行ったためだった。

法律に従い休憩を1時間分取得し、残業をまったく行わずに仕事を切り上げるという労働組合の戦術である。もちろん、ジュースの本数を少なめに入れるとか、仕事をサボタージュしているわけではない。単に法律や社内規則にのっとって自動販売機を回っただけで、補充の追いつかない機械が続出してしまったというわけである。

普段から休憩すら取れず、いかに過密な業務を強いられていたかがわかるというものだろう。そして、その労働を意図的に削ることが、いかに深刻な経営への影響を生み出すのかが、理解できるだろう。

すでに述べたように、現在の日本では、労働組合はストライキなどの団体行動を合法的に行うことができる。正当な行動=争議行為であれば、会社の業務を妨害したり損害をあたえたりしても、刑事処罰を受けないし、民事責任も免除され、損害賠償請求をされることもない。

これに対し、この「順法闘争」は主にスト権が認められていない公務員が編み出した戦術であり、法律上の争議行為にさえあたらない。単に社内のルールを守って働くという戦術は、企業に対抗するより「穏当」な戦術であり、交渉を円滑に進めるためのやり方だったと言える。

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