「満員電車は死ぬぞ」コロナでロンドン市長訴え 外出制限でも地下鉄は運行、通勤者で混雑
欧州連合(EU)からの脱退「ブレグジット」を経て、新たな国づくりを始めたばかりのイギリスだが、他国と足並みをそろえる必要がないからなのか、大胆な国民支援の政策を掲げたことに多くの喝采の声があがった。
ロンドン交通局は、最低限の交通インフラを供給するため、普段より運転間隔を大きく空けながらも、基本的に地下鉄全線の運行を維持している。270あまりある市内の地下鉄駅のうち、約40カ所を当分の間閉鎖すると決めたが、利用者には大きな影響はないだろう。
ロンドン自慢の地下鉄の週末深夜運転「Night Tube」こそ止めるが、バスは24時間運行を続け、深夜・早朝シフトの医療従事者の足を確保している。
「ソーシャル・ディスタンス」が重要
ただ、政府が国民に対し「とにかく家から出るな」と外出禁止を強く指示している中での乗り物の運行継続は、ウイルスの拡散防止という観点とは矛盾が生じる。
そこでジョンソン首相をはじめ、政府や交通局は国民に対し「他人との間に”ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)”を取れ」と力強く訴えている。日本でもコロナ禍をめぐっては、「スーパースプレッダー」「クラスター」「オーバーシュート」など次々と新たなカタカナ言葉が生まれているが、英語圏では「ロックダウン(街の封鎖)」と並び、この「ソーシャル・ディスタンシング」が急激に多用されるようになっている。
この「ソーシャル・ディスタンシング」は、日本で言われる「濃厚接触」のように「これだけ近づくと危険」という表現ではなく、「この距離を取るとより安全」というものだ。当初、イギリスでは感染防止で取るべき距離は1m間隔だったが、欧州での感染が急激に進んだ20日過ぎから、その倍の2m間隔へと広がった。
これを受け、電車内では座席を少なくとも1席ごとに空けて座らなければならないし、スーパーのレジの列でも前の人との間隔を大きく空けて待つことになる(食料品店など生活に必須の店舗や、銀行や郵便局といった公共性の高い機関は営業を続けている)。
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