大塚家具、ヤマダ電機傘下で赤字脱出なるか 家電と家具の共同展開でも道のりは険しい

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2019年夏ごろには、「久美子社長の経営能力を問題視した一部の取締役と社員が水面下で『社長降ろし』を企てる動きもあった」(同社関係者)とみられる。反・久美子社長派が多数派工作に失敗し、解職動議は取締役会に提案されずじまいだったが、資金面でも経営面でも危機的状況だった。

そこに2019年11月、以前から出資を打診していたヤマダから、「株式の過半を取得したい」と返答があった。12月末にヤマダから43億円の出資を受け、何とか倒産の危機は免れた。

一息ついたとはいえ、大塚家具の行く末は険しい。「大塚家具は粗利益率が高い。少しテコ入れして信用不安がなくなれば、回復できる」。買収を発表した12月の会見で、ヤマダの山田会長はそう言い切った。だが、事はそう簡単ではない。大塚家具の決算書には2018年12月期上期から「継続企業の前提に関する疑義注記」がついたままだ。

山田会長は「コラボ展開によってシナジーの最大化が図れる」とも強調する。実際、コラボコーナーを設置した「LABI品川大井町」は2020年2月の家具・インテリア売上高が前年同月比で倍増したという。

大塚家具回復に不可欠な条件

もっとも、これには大規模改装後の一時的な集客効果が含まれる。安売りのイメージが根強いヤマダの店内で、高級家具の需要をどこまで掘り起こせるかは、現時点で未知数だ。

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また大塚家具にとってヤマダでの販売は「卸売り」扱いとなる。小売価格から一定の歩合を差し引いた卸価格で取引されるため、「粗利益率が約5割の小売りと比べ、卸売りは3割台くらい。利益寄与は限定的だろう」と大塚家具の取引先関係者は指摘する。

大塚家具が浮上するには、主要販路の直営店での販売回復が必要不可欠だ。直近1年間の既存店売上高は、消費増税前の駆け込みがあった昨年9月以外、すべての月で前年割れというさんざんな状況だ。今後は家電の展示を含めた店舗改装や、立地別の客層に合わせた商品展開の見直し、広告の強化などで客数回復を目指す。

問題は商品展開力や営業力の低下だ。大塚家具は数百社に及ぶ取引先を持ち、品ぞろえが豊富。顧客需要に沿った商品を選別し、接客を通して売り切る力が同社のビジネスの肝だった。

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