大塚家具、ヤマダ電機傘下で赤字脱出なるか 家電と家具の共同展開でも道のりは険しい

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家具に限らず、限定商品やPB(プライベートブランド)の開発は、家電業界共通の課題になっている。

従来、消費者が家電量販店に求めるのは安さだった。現在、最も安く家電を量販しているのはEC市場。比較購買ができるEC市場では、価格のたたき合いが常態化。この土俵では家電量販店は「出品すれど利益出ず」という構図に追いやられている。その点、PB商品の開発強化は価格競争から逃れるすべになる。

家電量販店はさらに、ECでの買い物にはない魅力の創出に力を注ぐ。2月7日、業界2位のビックカメラが老舗百貨店の日本橋三越本店に「ビックカメラ日本橋三越」をオープンしたのも、富裕層需要の掘り起こしと「安い家電量販店」からの脱却が眼目にある。

3月上旬、店舗を訪れると、200万〜300万円の大型テレビに囲まれた高級ソファに初老の夫婦が座り、自宅のインターネット接続状況やテレビの配置についてビックカメラのスタッフと三越のコンシェルジュ(ベテラン販売員)に相談していた。

ECとの差別化を図れるか

ビックカメラの目玉はトータルサポートを提供する「ビックカメラ スーパーサポート PREMIUM」。会員になると、家電購入時に接客したスタッフが自宅に赴き、設置から初期設定、使い方習得まで支援する。メニューによってはその後のメンテナンス(コンディション確認や清掃など)までこなす。

ビックカメラ日本橋三越の橋本賢太店長は、「相談時間は長いときには5時間に及ぶ。丁寧な接客を大切にしている」と語る。

ヤマダが大塚家具を買収したのも、ニトリとの差別化のみならず、ECとの差別化を念頭に置いたリアル店舗での家電と家具のトータル提案を強化する狙いがある。

独自性を追求するためにヤマダ主導でのPB開発が進めば、気になるのが「大塚家具ブランド」の存在意義だ。現状は大塚家具の仕入れた商品をヤマダ店舗に並べて高級イメージを打ち出すが、PBの比率が増えていくと大塚家具ブランドを継続する意味は薄れていく。

前例はある。住宅事業を強化するため、11年にヤマダが子会社化した名門ハウスメーカーのエス・バイ・エルだ。傘下入り後、ヤマダから新たな経営陣を送り込むなどしたが業績不振を抜け出せず、18年にグループ会社と合併させて上場も廃止。今は「ヤマダホームズ」へと名前を変えて、展開している。

早期に黒字化できなければ大塚家具ブランドの看板を降ろすシナリオも現実味を帯びてくる。大塚家具にとって、今後1年が本当の意味での正念場になる。

真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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野中 大樹 東洋経済 記者

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のなか だいき / Daiki Nonaka

熊本県生まれ。週刊誌記者を経て2018年に東洋経済新報社入社。週刊東洋経済編集部。

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