大塚家具、ヤマダ電機傘下で赤字脱出なるか 家電と家具の共同展開でも道のりは険しい

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家電市場が縮小しているとはいえ、30万円以上する高機能洗濯機や高価格帯の冷蔵庫、エアコンは安定的に売れている。高額の60〜70インチの有機ELテレビを買う層は、ニトリでは買えない高級ソファに座ってテレビを見たいのではないか。そんな富裕層向けに高級感のある家具と家電を提案できれば、ニトリと競合することもない──。これがヤマダのたどり着いた生き残り策だった。

2019年2月、ヤマダは大塚家具と業務提携を結ぶ。大塚家具は資本提携を求めたものの、ヤマダ首脳陣はこの時点では首を縦に振らなかった。理由は2つある。

1つは、ヤマダの商品と大塚家具の家具を組み合わせたシーン提案で顧客にどこまで訴求できるのか、見極めが必要だったことだ。複数の店舗で検証を重ねた山田会長と三嶋恒夫社長は2019年11月の決算説明会で、「この間(実験的に検証したおよそ9カ月間)に、多くのことを学んだ」と手応えを示していた。

ギリギリのタイミングを狙った買収

2つ目は買収額の問題だ。2019年2月時点で大塚家具の株価は1株400円前後。「あの価格では当社の財務を毀損する可能性があった」と、ヤマダの財務担当・岡本潤取締役は明かす。一方で、業績悪化が続き、仮に大塚家具が民事再生を届け出てしまえば、ブランドそのものに傷がついて、資本提携する本来の意味がなくなってしまう。

2019年末の提携会見に登壇した大塚久美子社長(左)とヤマダの山田昇会長(撮影:尾形文繁)

「ヤマダの財務を毀損せず、大塚家具のブランドも傷つけない、ギリギリのタイミングを狙った」(岡本取締役)。結果的に第三者割当増資を2019年12月末に1株145円で実施。ヤマダ幹部の一人は「よいものを安く買えた」と胸を張った。

この買収でヤマダはもう1つの「よいもの」を手に入れている。家具の自社生産ルートの確保だ。

大塚家具は秋田木工を傘下に持つ。同社はかつて大塚家具の仕入れ先だった、国産家具の老舗メーカー。経営難で倒産した後、2006年に大塚家具が子会社化した。大塚家具はSPAのような製造機能を社内に持たないため、子会社の秋田木工のほか、有力な多数の仕入れ先メーカーと協業体制をつくり、大塚家具限定の商品の開発を行っている。

ヤマダにとって大塚家具の子会社化は、ヤマダ限定の高級家具を生産できるチャンスが生まれることをも意味するというわけだ。

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