新型コロナで焦るトランプ大統領の危険な賭け

民主党バイデン氏は共和党の対策を毎日攻撃

トランプ氏は支持率が頭打ちとなる中、コロナ問題が浮上するまでは、上昇傾向にあった株価を自らの経済政策の成果としてアピールしてきた。そして、資本主義を推進するトランプ政権と社会主義を推進する民主党といった対比の構図を描き、民主党が政権を握った場合、経済が悪化すると主張してきた。

だが、新型コロナによる株価暴落がその戦略を大転換させることとなった。大統領選がトランプ氏の新型コロナ対策の是非を問う信任投票となる可能性が高まったからだ。

今や民主党指名候補がほぼ確実視されているジョー・バイデン前副大統領は、大統領選へ向けて、新型コロナ対策についてのブリーフィングを毎日実施してトランプ氏のリーダーシップに疑問を呈している。外野からヤジを飛ばすことができるバイデン氏は優位な立場にある。ある専門家はトランプ政権が新型コロナ対策で失敗した場合、控えの投手にバイデン氏が用意されているとすら揶揄している。

ワシントン政治の破壊を公約したトランプ氏よりも、政府機関の力を借りて政策を発動できる経験豊富なバイデン氏のほうが、危機時にはふさわしいという見方が広まり、バイデン氏を当選させる機運が高まることも考えられる。

愛国心に訴え、今のところは支持率を維持

感染者が拡大する中、新型コロナ対応で出遅れたトランプ氏は、責任転嫁と愛国心の高揚に努めている。トランプ氏は新型コロナを「中国ウイルス」と称して中国の対応を批判したり、オバマ前政権に検査システムを複雑にした問題があったと主張したりしている。また、大統領が「アメリカが戦時下にある」と言い始めたのは、国民の愛国心を高め、大統領の下に団結することを狙っていると思われる。

その成果か、ABCニュース/IPSOSの最新世論調査では、大統領のコロナ対策について評価するとの回答が過半数を超える。ギャラップの最新世論調査では、トランプ氏本人の支持率は政権発足以来の最高値49%に達している。国が危機に直面し愛国心が高まる最中、今のところトランプ氏は多くの国民の支持を確保することに成功している。

9.11アメリカ同時多発テロの後に、メジャーリーグベースボールは全試合中止を発表したが、わずか6日後の9月17日には再開し、国民生活も元どおりとすることが推奨された。だが、新型コロナによる外出自粛はいつまで続くか不透明だ。1年から1年半後にワクチンが開発されるまで不安は完全に解消されないともいえる。

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