野球界の新星現る?東京バンバータの大冒険 ヴェルディ51年目の改革主導する熊本浩志氏

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最初に熊本は東京ヴェルディの前身である日本テレビFCの初代社長だった坂田信久を訪ねた。

「東京ヴェルディのeスポーツチームの片桐正大GMが、学生時代にインターンで坂田さんのカバン持ちをしていたご縁があって、一緒にお目にかかりました。最初に、録画させていただきます、今日は徹底的にお聞きします。とお断りをしてヴェルディの歴史をじっくりお聞きした。(東京クラブの生みの親である)正力松太郎が何と言ったかから始まって、東京オリンピック、Jリーグ設立までに25年かかった経緯まで。

50周年を迎えるヴェルディは、次の半世紀に向けて変わらなければいけない。しかし変えるにしても設立の想い、日本サッカーの歴史を知らないと、という考えから話を聞いたのです」

今年79歳になった坂田の話は3時間に及んだ。話し終えた坂田に、熊本は自分たちの考えを説明しようとした。しかし坂田はそれをさえぎって言った。

「『いらない、変えていい、次の世代に任せるから。俺が後押しする』と坂田さんは言われた。説明はしなかったけど、僕たちの話を聞く姿勢で、坂田さんは僕たちの想いを理解し、信頼してくださったんですね」

こうして、草野球チーム「東京バンバータ」の代表であり、amadanaグループのCEOである熊本浩志は、半世紀の歴史を持つ名門東京ヴェルディの改革に深くコミットメントすることになった。

全カテゴリーのユニフォームをデザイン

偶然ではあろうが、東京ヴェルディと東京バンバータはともに「グリーン」がチームカラーだった。

東京バンバータも「グリーン」がチームカラー(写真:東京ヴェルディ・バンバータ提供)

「僕たちはこれまでチームを支えてきたファンにもっと愛されるとともに、次のファンも創っていかなければならない。本拠地を川崎から東京に移して、ファンが離れて根無し草になった過去は、繰り返してはいけない。

坂田さんの草創期のお話を聞いたり、現場の声や羽生社長の思いを聞いたりして、残さないといけないのはチームカラーのグリーンとパイオニアの象徴である『始祖鳥』だと思った。そのエレメントから『V』のマークも作った」

デザインはイギリス人デザイナーのネヴィル・ブロディが手がけた。2014年ワールドカップでのサッカーイングランド代表のユニフォームのデザインを手がけた実績があり、サッカー文化への造詣が深かった。

熊本は、軟式野球、サッカーだけでなく取締役の森本譲二が構想した『総合スポーツ』にかかわる全カテゴリーのユニフォームやアプリケーションをすべてデザインした。Jリーグ開幕とともに東京ヴェルディの変革は大反響を与えつつある。熊本が率いるチームがデザインしたグッズ類が爆発的に売れているのだ。レプリカユニフォームの予約は前年比390%に達した。

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