東芝機械vs村上ファンド、大詰め攻防のゆくえ 坂元社長「総会で3分の2以上をとり圧勝する」

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――ISSはなぜ東芝機械に賛同したのでしょうか。

今回の買収防衛策は、村上グループのみにターゲットを絞って期間を(6月の定時株主総会後に開かれる最初の取締役会までに)限定し、なおかつ株主総会に問うということを条件にしているからだ。例外的で一時的な対抗策であるということで賛同してくれた。

坂元繁友(さかもと・しげとも)/1958年生まれ。1983年明治大学工学部卒業、東芝機械入社。2009年に取締役、2019年に副社長を経て2020年2月から現職(撮影:尾形文繁)

TOBが成功すると、企業価値が将来的に毀損する可能性があるということも根本にある。それならば、いま売ったほうが損が減ると考え、TOBに賛同する主要株主が出てくる。これは少数株主に非常に不利益で、判断を歪めてしまう。

ブラックロックも同じような考え方だ。彼らの視点は中長期的で、環境問題やSDGsなどに投資をして継続的なリターンを取るべきという考え方だ。中期経営計画で示した2023年度までだけではなく、もっと先のビジョンも見せてほしいと要求してきた。それで、3月5日に2030年までの長期ビジョンを示した。彼らが今回の買収防衛策に賛成するということは、短期よりも中長期の企業価値の向上が重要だと認めてくれたということだ。

村上氏は事業内容に興味を示さなかった

――村上グループの要求が中長期的な企業価値を毀損するという根拠は何でしょうか。

村上氏にわれわれの事業の内容を説明しても、彼はまったく興味を示さなかった。そんなものはどうでもいいと。

私自身、村上氏には直接2度会っているし、(村上氏の長女の)野村絢さんや(村上氏の関連会社で東芝機械の実質筆頭株主の)オフィスサポートの福島啓修代表にも会っている。彼らの言っていることは、ニューフレアテクノロジー株を売却して得た資金を原資とした自社株買いをやってくれということだけだ。設備投資を圧縮すれば300億円以上のキャッシュが出てくるので、それで自社株買いをやってくれと。その1点しかない。

だが、TOBが成功すれば村上グループが実質50%の議決権を持ち、実質的なオーナーということになる。その彼らが、経営方針を示さず、経営に興味もないというのはつじつまが合わない。説明責任が十分果たされていない。

例えば、TOBが成功すると(村上氏側は)社外取締役を1人、取締役会に入れるだろう。そして取締役会が紛糾し、会社運営ができなくなる。そこで「300億円で自社株買いをするなら抜けてあげるよ」というのが今までの彼らのやり方だ。過去に同じようなパターンが繰り返されてきた。

事業を運営することよりも自社株買いをやり、株価が上がった時点でさっと売り抜くというのが彼らの手法だと思っている。

もっと怖いのは商売ができなくなることだ。われわれは設備産業をやっており、大手自動車メーカーや大手航空機メーカーが顧客になっている。そういう方々はわれわれの設備を導入してから5~10年間、その機械で生産する。村上氏がオーナーになれば、会社の信用力は圧倒的に落ちる。村上氏の経営努力の問題ではなく、村上氏が入ってきた時点で確実に企業価値は下がる。

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