東芝機械vs村上ファンド、大詰め攻防のゆくえ 坂元社長「総会で3分の2以上をとり圧勝する」

拡大
縮小

――村上グループは次にどう動いてきますか。

彼らには出口がないのだろう。不利になったせいか、TOBの撤回を狙った提案が再三あった。これはおかしな話で、自分でTOBを始めておいて取り下げるというのは、一種の株価操作なのではないか。そういう話には簡単に乗れない、とお断りしている。

東芝機械と村上氏、どちらを選ぶのか

――3月27日の臨時株主総会では株主に何を訴えますか。

論点は3つある。1つは、設備投資をしっかりやって中長期的なリターンを継続的にとるわれわれと、短期的なリターンを要求し株を売り抜くことが目的の村上グループの、どちらを選ぶかということだ。

東芝機械の坂元社長は「TOBを始めておいて取り下げるのは、一種の株価操作ではないか」と訴える(撮影:尾形文繁)

そして、今回の対抗策に妥当性があるかどうか。過去にグリーンメイラー(高値で買い取らせることを目的に株式の買い集めを行う敵対的買収者)的な行為の実績がある、限定的な方々に対して対抗策を導入し発動することへの賛否だ。

さらに、社外取締役の機能も問われている。当社は東芝から離脱した後に監査等委員会設置会社になり、独立社外取締役が取締役会の過半数を占める。この買収防衛策の発動に関しても独立委員会を設置して諮問・答申を行い、取締役の保身ではないと明示している。これが否決されれば、社外取締役の機能が問われることになる。

27日の総会は、そういう総合的な意味をもっている。単純にわれわれの損得や経済合理性だけでなく、これからのスチュワードシップ・コードやコーポレートガバナンス・コードに関わる問題で、経済産業省も財務省も非常に注意深く見ている。

正しいTOBだったら何も文句は言わない。こういうやり方はよろしくないのではないかと一度株主の皆さんに問うべきだと思っている。

田中 理瑛 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

たなか りえ / Rie Tanaka

北海道生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。報道部、『会社四季報』編集部を経て、現在は会社四季報オンライン編集部。食品業界を担当。以前の担当は工作機械・産業用ロボット、ドローン、医療機器など。趣味は東洋武術。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT