新型ウイルスを正しく怖がるためにできる心得 大半の「感染症」は根絶することが難しい理由

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マスクをして通勤する人々(撮影:尾形文繁)
現在、世界中で新型コロナウイルスに関するさまざまな情報が飛び交い、日本国内でも自粛ムードの蔓延、マスク・トイレットペーパーなどの品切れ、など大きな混乱を招いています。
「ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはなかなかむつかしい」
明治から昭和初期にかけて活躍した物理学者、寺田寅彦(1878~1935年)の「小爆発二件」という浅間山の噴火について触れた随筆の中に出てくる名言です。
感染症の原因となる目に見えない病原体に対しても、この「正当に怖がる」ことが欠かせません。とりわけ未知の感染症である新興感染症については、個人レベルでも国家レベルでも「いかに正しく恐れるか」が求められます。そこで今回は、日本医学ジャーナリスト協会理事・幹事の木村良一氏の新刊『「新型コロナウイルス」―正しくこわがるにはどうすればいいのか―』をもとに、新型コロナウイルスについて「正しく怖がる」ための心得を紹介します。

コロナウイルスは「飛沫感染」が主な感染経路

感染症を予防するには、その感染症がどうやって人から人へと伝播していくかを知る必要があります。これまでのWHO(世界保健機関)や厚生労働省、国立感染症研究所の発表を総合すると、新型コロナウイルスの感染の仕方は「飛沫感染」が中心とされています。

飛沫感染するウイルスは、ウイルスを多く含んだ感染者のせきやくしゃみによって飛び散る唾液や鼻水の飛沫を直接浴びたり、テーブルの上やドアノブ、電車の吊革などに付着した感染者の飛沫に直接、手で触れたりすることで広がり、後者は接触感染とも呼ばれます。こうした感染の仕方は風邪や季節性のインフルエンザと同じなのです。

新型コロナウイルスの感染力について、1人の感染者が何人に感染させるかという感染力は2人程度。これは2~3人とされるインフルエンザとほぼ同じです。新種のウイルスに対して私たちは免疫(抵抗力)を持たないので、感染力はかなり高くなる傾向もあります。それに未知の病原体だけに特有の感染ルートを持っている可能性も考えなければいけないでしょう。

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