「コロナに負けない」ある台湾老舗屋台の戦略 「巣ごもり」狙いのデリバリー需要が好調に

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今回の新型コロナウイルスでも、兩喜號はいち早く対策をとった。従業員はマスクと手袋を着用し、店内の消毒を徹底。入口には来店者用のアルコール消毒液も設置している。消費者に安心して食事ができる環境を提供することで、同店が衛生管理を徹底している店だということをアピールしているのだ。

来客用にアルコール消毒ができるようにしている(写真:郭恣安)

陳輿安氏は、「現在自粛ムードこそ漂っているものの、台湾人の感染症への予防意識は広く普及しており、政府の対策も成果を上げている中、人々の経済活動がゼロになることはない。だから心配しすぎることはない」と断言する。

それでも、台湾でも外食産業がコロナショックの直撃を受けたのは事実だ。業績悪化を嘆く店も少なくない。陳輿安氏は「店側が嘆いたところで何のプラスにもならない」と強調する。「消費者の立場に立ってみて、店側が動揺を見せるようでは、客は店に行こうという気にはならないだろう」と言う。世間が騒げば騒ぐほど、経営者は落ち着いて構えるべきだと考えている。

危機こそ経営を考え直す絶好の機会

デリバリーが好調とはいえ、新型コロナウイルスの流行は、もともと外国人観光客が多い兩喜號の業績にも影響を与えていることは確かだ。だが陳氏は、この危機も営業方針を考え直す絶好の機会と捉えているという。同店は最近、電子マネーなどの決済方法を拡充し、外部の宅配デリバリーサービスとの提携も進めている。

経営者にとって経営のピンチはチャンスでもある。それはこのコロナショックも同様だ。もし店が観光客に依存しているのなら、今こそ地元へのアプローチを考えるときだろう。また、総合病院の敷地内のように、外部からの客の流入が見込めない閉鎖商圏の飲食店なら、デリバリー業者と提携をして、外部に客を獲得しにいくなど、この危機を乗り切る対策は存在するのだ。

「これまで、このようなチャレンジは時間がなくてできていなかった。今は店をよりよくするためのトレーニングの機会だと考えている」。陳氏はそう言う。だからこそ、この機会に新しい市場の潮流をつかみたいと考えている。彼はすでに新型コロナウイルスの収束後を見据えて、未来に向けて準備を始めているのだ。

(台湾『今周刊』2020年3月6日)

台湾『今周刊』
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