「コロナに負けない」ある台湾老舗屋台の戦略 「巣ごもり」狙いのデリバリー需要が好調に
新型コロナウイルスの世界的流行は経済にも大きな影響を与えている。感染拡大防止の観点から外出自粛ムードが広がる中、外食産業はコロナウイルスによって深刻なダメージを受けた産業の1つだ。
現在、台湾でも多くの飲食店が経営の危機に瀕しているが、ある老舗の屋台料理屋が17年前のSARS(重症急性呼吸器症候群)における経験をもとに現在も奮闘している。
現在の外食産業はSARS当時と酷似しているが、この老舗店はSARS危機をいかにして生き延び、どのように新型コロナウイルスに立ち向かっているのだろうか。
コロナウイルスでも老舗に悲壮感はない
台北市最古の古刹・龍山寺の最寄り駅から徒歩数分のところに、屋台料理の店「兩喜號(リャンシーハオ)」がある。同店はイカを使ったとろみのついたスープが名物で、開業から間もなく100周年を迎える老舗中の老舗だ。
日本をはじめ各国版ガイドブックでも紹介される名店でもあり、旧正月を迎える2月ごろには、イカスープを求める龍山寺の参拝客で店内はごった返す。だが、2020年は新型コロナウイルスの影響で台湾も外食を自粛し、兩喜號を訪れる客はまばらになっている。
とはいえ、店に悲壮感はない。テイクアウトとデリバリーによる注文が好調なのだ。
兩喜號の4代目・陳輿安 (ちん・よあん、28歳)氏によると、同店は過去に立法院(国会)や台北市政府、市議会などの公的機関から配達依頼を受けたことはあるが、最近では地元の中小企業からも注文が入っているという。同店のデリバリー事業は短期間で目に見える成長を遂げたが、それは同店が巣ごもり消費に目をつけ、フェイスブックやインスタグラムなどで積極的なアピールを行ったためだ。
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