中国のキャッシュレス「物乞いまで」浸透した訳

政府による「GAFA締め出し」が功を奏した

大阪人以上に商品を値切るのが好きだし、お金に対する価値観が日本人とどこか違うのだ。紙幣だろうが、カードだろうが、スマホだろうが、「お金はお金」という感覚なのかもしれない。「金は天下の回りもの」という意識も徹底している。

⑤外資系企業がいない
最後にこの点を付け加えてもいいだろう。中国政府は、外資系企業が自国で覇権を握ることのないよう、グーグルやツイッター、フェイスブックといったアメリカ系の巨大IT企業を市場から完全に排除している。

キャッシュレス決済についても、「アップルペイ」が許されてはいるものの、存在感は極めて小さい。外資系を排除したことで、中国企業2社に絞り込めたともいえる。

一方の日本はクイックペイ、アップルペイ、グーグルペイなどの外資系キャッシュレス決済も続々と市場に入ってきている。自由市場はもちろん望ましいことだが、乱立状態は早く抜け出したいものである。

「偽札が多いから説」は信じるべからず

補足:「偽札が多いから」説について
「中国は偽札が多いから、キャッシュレス決済の導入が進んだ」という説もあるが、これは少し疑ってみたほうがいいだろう。

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確かに、中国では日本よりも偽札を見る機会が多いとはいえ、決して頻繁ではない。在住者であっても、1~2年に1回程度にすぎず、キャッシュレス決済に飛びつく動機としては弱すぎる。これまでも中国人は、そこまで偽札に困っていなかったはず。キャッシュレス化を進める多少の後押しにはなっただろうが、決定的な要因にはならなかったはずだ。

「日本でキャッシュレス化が普及しない理由は、日本人が福沢諭吉を尊敬していて、いつも手元に置いておきたいから」と言われたら、奇妙に感じるだろう。それと同じようなものである。偽札の蔓延というといかにも“中国らしい話”なのでつい信じてしまいそうになるが、眉唾物と捉えるのが賢明だ。

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