中国のキャッシュレス「物乞いまで」浸透した訳 政府による「GAFA締め出し」が功を奏した

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ネット空間での支払いはアリペイが優位だが、オフラインすなわちリアル店舗では、ウィーチャットペイのほうが利用率が高い。キャッシュレス決済が一般化するにつれ、ウィーチャットペイの存在感はさらに増す流れだが、アリペイは金融商品の多角化や信用機能をベースにしたサービスなどで、差別化を進めている。

中国のキャッシュレス決済は2016~2018年ごろのわずか2~3年で、中国全土に爆発的に普及した。キャッシュレス決済が中国の隅々まで普及した理由は諸説あり、聞いたことがあるという読者も多いだろうが、改めて整理したい。

中国が「キャッシュレス大国」になれた理由

①スマホの普及率が高かった 
いまでこそ経済大国として日本を追い越し、アメリカと対等にまで成長した中国だが、北京五輪(2008年)のあった10年ほど前までは、ニセモノや有毒食品が街にあふれ、ネットも日本ほど普及しておらず、携帯電話はノキアやブラックベリーばかり。それが2010年ごろから目に見えて社会が豊かになり、スマートフォンを通じてネットが急速に普及した。

現在でも中国のネットユーザーの多くは、スマートフォンを通じてネットにアクセスしているため、キャッシュレス決済を導入する下地が日本以上に整っていたといえる。

また、中国は携帯電話の基地局(携帯の電波を送受信するアンテナ)の生産でも日本をはるかに上回り、世界のトップクラスにある。パソコンによるインターネットの普及が遅れたからこそ、全国民がどこでもスマホでネットにつながる“スマホ先進国”となり、キャッシュレス社会の基盤がつくられたといえる。

②政府主導で、国家プロジェクトとして推進した
中国という国で社会を大きく変える際、政府が無関係であることはまずありえない。中国政府は2015年3月、「インターネット+行動計画」を発表。インターネット+医療、インターネット+物流、インターネット+金融などインターネットをあらゆる産業と結び付けることを国策として掲げ、キャッシュレス決済の普及を強力に後押しした。

中国はよくも悪くも徹底した管理社会であるため、個人の交友関係や移動履歴などについても、政府は積極的に管理下におきたがる(普通に生活するうえではとくに問題はないが、反政府的な言動などがあれば、ただちに是正を促される)。

お金の流れについても、匿名性の高い現金より、実名とひも付いたキャッシュレス決済のほうが、国民を管理しやすいと考えたのではないだろうか。税金の徴収も確実である。

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