コロナ危機で「中国経済」はどこへ向かうのか 日本企業に迫られる中国戦略の「再検討」

✎ 1〜 ✎ 43 ✎ 44 ✎ 45 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

他方、中国からの輸出も打撃を受け、2020年1~2月の中国の輸出額は前年同期比17.2%減、2月単月には約600億ドル分減少した(中国税関総署)。現在、世界生産量1位の中国産工業製品が220種類以上に上るため、部品供給が寸断すると、世界の製造業の停滞も余儀なくされる。

また、中国国内の感染拡大はすでにピークアウトしたものの、現在はドミノ倒しのように感染が世界に拡大しており、世界経済への影響がどこまで広がるのか見通せない。中国における自動車部品、車載電子、電気機器などの生産が滞り、日本国内生産に支障が生じる反面、インバウンド需要の減少による地方経済への打撃、サービス業への広範な悪影響が見込まれており、日本国内消費を下押しするのは避けられない。

世界経済における中国の牽引力

日本経済の中国経済に対する依存度が拡大している中、日本国内では、中国経済に対する不安、日本経済への悪影響が心配されている。新型肺炎による経済ダメージがどこまで膨らむか予断を許さないが、世界経済において13兆ドルという経済規模をもつ中国の牽引力は依然大きい。

今回の新型肺炎の感染をめぐる日本からの支援に対し、多くの中国国民は日本に感謝し、中国政府も日本の対応を高く評価した。習近平主席の国賓訪日は延期となったが、日中関係の改善で両国企業間の協力への期待も高まっている。

上の画像をクリックすると、「コロナショック」が波及する経済・社会・政治の動きを多面的にリポートした記事の一覧にジャンプします

中国の1人当たりGDPは2019年に初めて1万ドルを突破。国民の生活に一層ゆとりが出る中、「モノ」の消費に限らず、高品質・サービスを求める「コト」の消費が増加しており、日本の製品やサービスに対する需要が拡大する環境が整ってきた。

一方、中国ではコストの上昇や競争の激化をはじめとする不安定要素も増加している。日本企業においては、事業の選択と集中を考慮しながら、中国企業と補完関係の構築を含む今後の中国戦略を再検討する必要がある。

湯 進 みずほ銀行ビジネスソリューション部 上席主任研究員、上海工程技術大学客員教授

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

タン ジン / Tang Jin

みずほ銀行で自動車・エレクトロニック産業を中心とした中国の産業経済についての調査業務を経て、日本・中国自動車業界の知見を活用した日系自動車関連の中国事業を支援。現場主義を掲げる産業エコノミストとして中国自動車産業の生の情報を継続的に発信。中央大学兼任教員、専修大学客員研究員を歴任。『中国のCASE革命 2035年のモビリティ未来図』(日本経済新聞出版、2021年)など著書・論文多数。(論考はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です)

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事