コロナ危機で「中国経済」はどこへ向かうのか

日本企業に迫られる中国戦略の「再検討」

製造業企業の操業再開の遅れが素材分野にも波及している。とくに自動車、建設、造船、機械といった業種の生産活動の縮小により、鉄鋼・アルミメーカーが過大在庫を抱えている。

無錫市内のスマートコンビニ(便利蜂)スマホバーコード認証で無人販売。感染予報のため、製品間のスペースを広げて陳列している(筆者友人提供)

製造業では政府の支援策が効果を上げているが、サービス業、とくに中小企業は資金繰りの改善が困難な状況に追い込まれている。企業の債務負担が増加すれば、結果的に設備投資や雇用を冷し、消費マインドの低下につながる。

2020年は中国政府が3年前から設定した重点政策課題、貧困・環境・金融リスクの「3つの戦い」(三大攻堅戦)の完了となる年であり、その目標を達成するには経済の成長を最優先する必要がある。3月に開催した政府会議で「6つの安定」(雇用・金融・貿易・外資・投資・予想)」が保たれさえすれば経済成長自体は問題ないと李克強総理が判断し、経済支援策を迅速に打ち出すようにと指示した。

企業の操業停止で生じたリストラや雇用の悪化を回避するため、政府の要請を受け、金融機関は零細企業を含む支援対象企業に計8370億元(約13兆円)の融資枠を設定した。2020年の大学新卒が過去最多の874万人に上る一方、新型肺炎の感染予防により就職活動は難しくなる。

中国教育省は中華英才網等大手求人サイト5社と提携し、「24時間・365日のキャンパスリクルーティング」の無償サービスを打ち出し、オンラインでの企業説明会の開催や個人面接など、雇用の安定化を図ろうとしている。

自動車ディーラーの苦境

中国の内需拡大を支える自動車消費では、現在湖北省以外の自動車メーカーがほぼ操業再開したものの、新型肺炎の影響で多くの4S店(ディーラー)は2月に休業し、3月10日時点で、ディーラーの開業率は50.5%にとどまっている(中国汽車流通協会)。消費者が外出を控えることにより来店数が減少し、新車およびアフターサービスの需要は大きく落ち込み、ディーラーにおける在庫圧力と経営リスクも高まっている。

今後、車両購入税の優遇、新エネルギー車補助金の見直し、農村部での販売支援策など自動車消費喚起策の実施が期待される。実際、広州市と仏山市が「国6」排ガス基準の適合車両や新エネルギー車の購入に補助金を支給する消費喚起策を打ち出した。

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