コロナショックがもたらす「上場延期」の深刻度

リストラ進み、M&Aによる業界再編も進むか

上場延期のベンチャー企業だけでなく、令和になってから加速した早期退職の流れにも拍車がかかりそうだ。

東京商工リサーチが3月11日に発表した『2020年1-2月 上場企業「早期・希望退職」実施状況』によると、この時期に募集を実施した上場企業は19社と前年同期の9社から倍増した。わずか2カ月で昨年1年分(36件)の半数に達したという。消費の冷え込みを予想し、小売りや食料品での実施が目立ったのも特徴だ。

1月下旬から新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、業績の下方修正を開示した上場企業は87社、また何らかの影響を開示した上場企業は461社に上った(3月11日時点)。

3月に入り、コロナショックの影響による株価急落や円高進行などで景気後退局面に入るとの観測が強まり、さらに早期退職の動きが進むとみられる。

今回の調査結果で興味深いのが、早期退職を募集した上場企業のうち、直近の決算で最終黒字だった企業が19社中13社と7割を占める点だ。退職金を支払う余力のあるうちに、将来の人件費を圧縮する「黒字リストラ」が昨年から話題となっているが、その流れが続いたと言えそうだ。

近年では、将来的に人工知能(AI)の普及で省人化が進むと予想される中、小売りであればコンビニの無人レジなどへの設備投資を進める動きは避けられず、今年がきっかけとなり、その傾向が進む可能性もある。

関連会社への転籍による「退職勧告」も

企業の人件費圧縮の方法は、退職金をともなう早期退職だけとは限らない。昨年は損害保険大手のSOMPOホールディングスの国内損保事業の従業員の削減が話題となった。

介護事業を展開する関連会社への配置転換も同時に行われたため、「介護部門を『追い出し部屋』に使っている」という批判まで起こった。

さらには、ほかの企業においても、扱いに困る社員を自主退職に追いやる「事実上の早期退職」が広まる可能性もある。

不況時には往々にして統合・再編が進む。今年は「稼ぐ力」があり、キャッシュなどの「体力」のある企業とそれ以外で差が開く1年になりそうだ。

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