「国産連節バス」はダイムラーの牙城を崩せるか いすゞと日野が共同開発、「シターロG」に挑む

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国産連節バスの車内の様子。仕様によって異なるが、一般の大型路線バスが定員80人前後なのに対し、連節バスは120人近くを輸送できる(記者撮影)

販売で順調なスタートを切ったかに見える国産連節バスだが、2社の担当者は「導入してもらうまでの大変さは、一般的な路線バス車両の比ではない」と口をそろえる。

というのも、全長が18メートルに及ぶ連節バスは法律で定められた道路運送車両の保安基準制限を超えているため、勝手には公道を走行できないのだ。

自治体や警察の協力が不可欠

導入に際しては、国土交通省運輸局と道路を管理する自治体から、保安基準の緩和認定や特殊車両通行許可を受けることが大前提だ。道路の拡張・整備や停止線の書き直しが必要になるケースも多く、地元の自治体、警察の理解と協力が欠かせない。

導入予定路線での試走や納車時にはメーカーや販社が現地まで車両を届けるが、その輸送だけでも大変だ。事前に道路幅などを調べたうえで、工場や車両保管場所から現地までの詳細な走行ルートを申請して通行許可を得る必要があり、その許可をもらうのに2カ月かかるという。

それでも、「1人のドライバーが多くの人を効率的に運べる連節バスは、これからの社会でより必要性が増していく」(日野の望月氏)。バス事業者にとって身近な国内メーカーの車両も登場したことで、全国各地で普及に向けた動きが広がりそうだ。

渡辺 清治 東洋経済 記者
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