「国産連節バス」はダイムラーの牙城を崩せるか いすゞと日野が共同開発、「シターロG」に挑む
トラックの世界ではライバル関係のいすゞと日野だが、バス事業では協業関係にある。両社は市場縮小で業績不振に陥ったバス事業の合理化策として、2004年に製造部門を統合。合弁会社のジェイ・バス(本社・石川県小松市)で製造し、2社間で路線バスや観光・高速バスの車種自体も統合した。
ただし、独禁法の関係上、販売はあくまで競合関係にあり、今回の連節バスもいすゞが「エルガデュオ」、日野は「日野ブルーリボン ハイブリッド 連節バス」の製品名でそれぞれ販売している。ちなみに、冒頭の横浜市交通局は昨年4月に入札を行い、横浜を地盤とする日野の系列販社が応札した。
国内でも潜在需要が顕在化
国内の一般的な路線バスの多くはいすゞ、日野の車両だが、これまで両社は開発費などの投資回収が難しいとして、連節バスの開発・生産には否定的だった。その2社が参入に踏み切ったのは、国内でも潜在需要が顕在化し始めたからだ。
「通勤・通学や観光客で混雑する路線を増便したくとも、最近は運転手不足でなかなか便数を増やせない。そこで解決策として、輸送能力が高い連節バスの導入機運が全国で高まってきた」。日野のバス部事業企画グループの望月裕貴セクションリーダーは、参入の背景についてこう話す。
実際、ライバルである「シターロG」の販売を見ると、これまでに国内で売れた計61台のうち、2017年以降が30台と半分を占める。導入地域が地方に広がっているのも近年の特徴だ。こうした中で、「各地のバス事業者から、国産の連節バスを求める声が多く寄せられた」(いすゞのバス商品企画・設計部チーフエンジニアの鈴木隆史氏)という。
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