確かに、一瞬、「買い場」に見えた場面もあった。暴落の後、戻すように見え、「ああ買っておけばよかった」と、一部の個人投資家は後悔したが、後悔は今や安堵となって、すぐさま、また暴落した。
専門家の裏にいる、「黙っている人々」や「本当に株式を持っている人々」は、パニックになりつつも売り場を探していたから、少し戻せば、これが最後のチャンスとばかりに売ったのである。いったん、こうなってしまえば、冷静を装っている必要もなく、とにかく「逃げるが勝ち」だ。勝ちとはいかないまでも、なんとか「負けを最小限に抑えよう」と、自分の資産で投資している人々は売りまくった。
そもそも、「ついに株式市場の『化けの皮』が剥がれ始めた」(2月26日配信)や「ついにアメリカの巨大バブル崩壊が見えて来た」(3月7日配信)でも書いたように、1月末に中国がパニックになったのに、暴落しない方がおかしかったのだ。だが、今となってみれば、彼らは「わかってはいたが、何とか売り場を維持するために、平静を装っていた」のだ。
株価はいつになったら下げ止まるのか?
さて、過去の話はもういい。問題は、これからだ。いつ下げ止まるのか。
この議論になると、うそつきであることがバレた専門家たちは口をつぐむ。「市場はパニック状態なので、いつ収まるかわかりません。ただ、いつかは収まります。その時のために買いを準備しておきましょう」、などというだけだ。
彼らは、要はうそつきだからそれでいい。ここで一番厄介なのは、素人のくせに専門家だとメディアなどに誤解されている人々だ。場合によっては、自分自身で専門家だと思い込んでいる、何もわかっていない人々だ。
彼らは、バブルの解説をする。「いったん崩壊するとパニックでおさまらない。だから、新型コロナパニックが収まるのを待つしかない」、とか、「株価というのは、企業の収益を表しているから、それが回復する見通しが立てば戻るでしょう。しかし今はそのメドが立たないので・・・」とか言う。
馬鹿なことを言うな。
企業収益と株価は直接には関係しないことが多いのは、行動ファイナンスという学問でもわかっている。またマーケットの現場でも、PER(株価収益率、株価÷企業の1株当たり予想利益で計算)が総じて10倍から20倍の間を動くことでも明らかだ。
これはPERが2倍も変化すれば、株価は、企業収益が同じでも時には2倍になったり、半分になったりするということだ。しかし、個別の銘柄の株価はともかく、日経平均株価は2万4000円から1万8000円程度には落ちることはあっても、さすがに1万2000円にはそうそう簡単には落ちない。
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