定年後の職場で「浮く人」は弱さを見せていない

「効率性と生産性」よりも「無駄と寄り道」が必須

シニアの「転職」では、こういった受け手側の心情をしかと受け止め、受け入れる側の不安や警戒心を解きほぐすコミュニケーションをとることが肝心となる。深く関わる必要はないので、まずは心の距離感を縮めること。アウェーに弱い人にはチョモランマを制覇するくらいのエネルギーが必要となるけど、ここは踏ん張りどころだ。

そこで参考にしたいのが「オバちゃんたちのコミュニケーション術」だ。オバちゃん力こそが、組織社会化成功の最良の戦略なのだ。

オバちゃん力こそが最良の戦略

拙著『定年後からの孤独入門』でも詳しく解説しているが、オバちゃんたちの最大の強みは、相手の懐に入り込むコミュニケーションのうまさだ。ネガティブな言葉で表現すると「おせっかい」である。女性が年齢を重ねるにつれ人間関係が重厚になっていき、楽しみが増えていくのに反して、男性は希薄になりがちなのも、このコミュニケーションスタイルの違いが関係している。

一般的に男性は他者と何かを「する(do)」ことで、女性は他者と共に「いる(be)」ことで、他者関係を構築する傾向が強い。男性はコミュニケーションで「解決」を目的にするが、女性は「共感」がゴールだ。女性が会話で疑問形を多用し、曖昧な表現をする傾向があるのも、共感を大切にすることが関係している。おしゃべり好きに女性が多いのも、それが互いの距離感を縮める最良の手段だからだ。

例えば「女性部下が相談に来たから解決の道筋を立ててあげたのに、なぜか不満げだった」と嘆く男性上司がいるが、それは共感の欠如が原因である。女性部下は上司に「そうだよね」と共感してほしかった。ある意味、相談そのものが目的なのだ。であるからして上司が解決しようとすればするほど自分が否定された気持ちになる。「そっか。大変だったな」と一言でも言ってくれれば救われるのに、責められているような気分になってしまうのである。

女性にとって会話における言葉は「相手とつながる」ことを目的としているのに対し、男性のそれは「情報の交換」である。前者は「ラポートトーク(rapport-talk)」、後者は「リポートトーク(report-talk)」と呼ばれている。

医療品メーカーで副社長を務める山本さん(仮名)に、「部下に仕事のアドバイスなどをしても、うっとうしがられているような気がして」と相談され、オバちゃんトーク=ラポートトークを試してみるよう話したことがある。

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