消費者金融は厳しい環境が継続、資金状況やグループからの支援の可能性がより重要に《スタンダード&プアーズの業界展望》
収益面では、2009年3月期に利息返還関係の引当金繰入額を増加させたことを主因に純損失を計上した武富士、プロミスが黒字を確保した一方、アイフルは多額の引当金繰入額や事業再構築費用を計上したことで、2823億円の純損失となった。アコムは小幅な黒字を確保したものの、今下期に利息返還損失引当金の繰り入れや、経営改革にかかわる特別損失の計上を予定しており、通期では114億円の純損失を予想している。いずれにせよ、与信コストを引当金繰入額ではなく、発生ベースでとらえた場合の実質的な営業収支は、各社とも赤字が継続している(図1参照)。
利息返還や貸し倒れの高止まりが継続するリスク
現在、各社の最大のコストとなっている利息返還額(元本充当額とキャッシュアウト額の合計)は4社合計で2846億円となり、単純に2倍して年換算すると、前期の6722億円を15.3%程度下回る。ただし、これは前期に未和解債権の処理を加速させた武富士の減少によるところが大きく、他の3社ではほぼ前期並みとなった。足元で請求件数はやや減少傾向にあるもようだが、これは債務整理を受任する弁護士と依頼人の間でトラブルが多発していることを受け、7月に日本弁護士連合会が「依頼人との直接面談の原則」などの指針を策定したことで、弁護士の活動が抑制されていることに伴う一時的な現象にとどまる可能性もある。