ユニクロとソフトバンク、会議の意外な共通点 強い会社は「会議」で何をやっているのか

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組織の意思決定のスピードを変革するには、まず「判断できる人間」が一堂に集まって議論を尽くすことである。「判断できる人間」とは、具体的には組織の長と現場のリアルを知っている担当者だ。「判断できる人間」が一堂にそろう会議は、その場でものごとが決まっていく。

意思決定の速さと行動の速さは、会議の仕組みからも生まれている。ファーストリテイリングが「ワンテーブル・ミーティング主義」を大事にしたのも、実質的に関係のある人が集まることで、「製造小売業」という「ビジネスモデル」に必要な即断、即決、即実行が可能になるからだ。意思決定が迅速にできるわけだ。ここでも「会社の強み」と「会議の質」は関連している。

ソフトバンクは「ブレスト」を重視

ソフトバンクで、大きな意思決定をする際には、毎日のようにブレインストーミング(以降「ブレスト」)が行われていた。正確にいうと、上層部から現場の社員まで、すべての人が行っているわけではない。つねにブレストをしていたのは、経営トップを中心とした幹部クラスだ。新しいビジネスに参入するためのシナリオ、既存事業の強化のための方策など、ブレストのテーマは尽きない。

ソフトバンクは新しいことをつねに模索している。既存の仕事の延長だけでは決められない案件ばかりだ。だから、アイデア出しは重要になる。調べられることは徹底的に調べ上げたうえで、それを材料に徹底的にアイデアを練り上げていく。

感覚ではなく、事実ベースを大切にしている。データも含めた事実を共有し、それを踏まえて発想することが求められる。幹部には、その感覚が染みついているので、知らず知らずにブレストによる会議の効率と効果は高まる。

幹部で行うブレストの主催者は、経営トップである。参加者のアイデアを取り込みながら、それを上回るアイデアを自ら出し、さらに議論の質を高め、最終的には主催者が意思決定していく。ソフトバンクという企業のベースに流れる挑戦心とスピード感も、会議と密接に関係があるのだ。

「強い会社」の会議に共通する特徴

以上の3社に共通するもう1つの特徴がある。それは、既存の延長や他社の物真似を嫌い、「ゼロベース」からの発想(ゼロベース思考)を求めることだ。

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求められるのは会議だけではないが、当然、会議の場でも強烈に求められる。「ゼロベース思考」とは、これまでの常識や規則、枠組みをつねに疑い、本当に正しいかどうかを考察し、白紙の状態から考えていくことである。ゼロベースから、あるべき姿やあるべき方法を考えて結論を導いていくのだ。

どのような会社でも、「なぜ、それを行うのか?」「なぜ、そのような方法で行うのか?」「なぜ、そのようなタイミングで行うのか?」をゼロベースで根本から考える習慣は持っておくべきだ。会議でも、この視点で議論を尽くすべきだ。この習慣が組織にあると、一つひとつの仕事の質が上がるだけでなく、組織としての変化への対応力が増す。

松岡 保昌 モチベーションジャパン代表取締役社長

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まつおか やすまさ / Yasumasa Matsuoka

人間心理にもとづく経営戦略、組織戦略の専門家。1986年同志社大学経済学部卒業後、リクルートに入社。『就職ジャーナル』の編集や組織人事コンサルタントとして活躍。2000年にファーストリテイリングにて、執行役員人事総務部長として当時の急成長を人事戦略面から支える。その後、執行役員マーケティング&コミュニケーション部長を歴任。2004年にソフトバンクに移り、ブランド戦略室長としてCIを実施。福岡ソフトバンクホークスマーケティング代表取締役、福岡ソフトバンクホークス取締役として球団の立ち上げを行う。

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