ユニクロとソフトバンク、会議の意外な共通点 強い会社は「会議」で何をやっているのか
関係する全員が会議に出ていると、誰がどのような意見を持っていて、どのようなプロセスを経て何が決まったか、全員が知っていることになる。例えば、契約社員やアルバイトも予期せぬことが起こったときに、誰に何を報告しなければならないかすぐにわかる。なぜなら、どのようなプロセスで何が決まったか、契約社員もアルバイトも一部始終を知っているからだ。自分で判断して動けるのだ。
また、1つの指示で、何をしてほしいかの全体像を理解できるようになる。一つひとつの指示内容を説明する手間や時間は、逆に短縮されるのだ。社員、契約社員、アルバイトと立場に関係なく、一人ひとりが自ら判断しながら動けるようになるからだ。
企業と会議のありようはつながっている
一見すると、会議の参加人数が多いというのは、コスト的に悪く時間も無駄に思えるかもしれないが、日常の行動の効率は上がる。もともとリクルートには、「企業文化」として「一人ひとりが主体的に動くことを大事にする」という価値観がある。そして、「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」という「企業理念」は、社員だけでなく契約社員やアルバイト社員にも求められている。
だが、動くための情報がなければ、誰も主体的にはなれない。そのため、これは会議に出て社員と同じように情報を得て、当事者として動くのが当たり前のこととなるような仕組みともいえる。
また、リクルートの業務は、もちろん定型業務もあるが、企画や営業の仕事が多いので、どちらかというと臨機応変な対応が求められることが多い。提案型で高付加価値を志向する「ビジネスモデル」を支えるには、雇用形態を問わず全員が、自らの判断で、主体的に行動できなければならない。企業のありようと、会議のありようはつながっているのだ。
私が組織変革を行っていた頃のファーストリテイリングでは、会議を行う際に、そのテーマの関係者全員がそろっていることを重視した。これは「ワンテーブル・ミーティング主義」と呼ばれていた。
マーケティングに関する会議で、ある商品の売れ行きが速く、「追加生産」がテーマだとする。その商品の担当のマーチャンダイザー(MD)はもちろんだが、追加商品の納入のタイミングで販促を仕掛けるためにマーケティング部長とその商品の販促担当者、そして生産部長とその商品を作る工場の担当者、販売を担う店舗運営部長が出席する。会議中に、追加生産のために通常とは異なる方法で商品を運ぶ必要がありそうだとわかったら、すぐさま物流の責任者と担当者が呼ばれる。
このように、必要な関係者が一堂に集まって会議を行うのだ。
多くの企業では、会議の場で決めたことをそれぞれの部署に持ち帰り、部署として可能かどうか判断している。その判断を携えた参加者が、もう一度集まって協議する。場合によっては何度も会議を開かなければならず、スピードが遅くなる。
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