また実売に大きな影響を与えているライブコマース(動画の生放送によるインターネット販売)にも動きが見られた。ライブコマースサービス「淘宝直播(タオバオライブ)」では2月に新たに配信を始めた販売店が前月比で7倍に急増。
この要因として、2月10日に発表した、中国全土の実店舗を対象とした「タオバオライブ」への加入料を無料にするキャンペーンの展開が挙げられる。さらには小米集団(シャオミ)や独アディダスなどの有名ブランドがタオバオのライブコマースで新製品発表を配信した。
社長自らライブコマースに出て販売回復
一方で、ライブコマースで起死回生を図った会社もある。新型コロナウイルスの影響で売り上げが激減した中国のスキンケアブランド「林清軒」は、バレンタインデーのセール時期に規模を縮小したことで、破産寸前まで追い込まれた。
そこで、社長自らが「タオバオライブ」を初実施したところ、視聴者は6万超えで、40万元(日本円で約591万円)の販売額だったという。さらに同社の2月の売上高は対前年比45%増となった。店舗やブランド、企業といった製品に精通した人物によるライブコマースは、新型コロナウイルスの終息後も広まっていきそうだ。
また、販売員はライブコマースだけでなくSNSを駆使して宣伝を行っている。百貨店の店員からブランド直営店まで、中国では販売員と消費者がWeChatで連絡を取り合うのは一般的だ。だが中国の化粧品業界向けサービスを展開する「中国美粧網」によると、通常のように店舗に来るよう促すのではなくWeChatのトークルームやグループ内で商品を販売する販売員もいたようだ。
またロレアルは2月6日に発表した2019年決算資料でジャン・ポール・アゴン会長兼最高経営責任者(CEO)のコメントを紹介している。
新型コロナウイルスが、ロレアルの中国およびアジアのトラベルリテールでのビジネスに一時的な影響を及ぼすとしつつも、2002年冬から翌2003年上半期に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)や2012年の中東呼吸器症候群(MERS)を引き合いに、「過去に同様の状況で経験したことは、一定期間の混乱の後、消費が以前よりも強くなることを示している。したがって私たちは今年(2020年)も売り上げと利益の両方で成長を達成すると自信を持っている」とジャン会長兼CEOは語っている。
SARSの際は5月に消費財の売り上げが底まで落ちたものの、終息宣言の7月を前に6月からV字回復したとされている。過去の状況と、中国国内のオンライン市場や消費動向は大きく異なるものの、冷静に見ていく必要がありそうだ。
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