「ドラえもん」も公開延期に、映画館覆う暗い影 ヒット作不在に新型コロナ肺炎が追い打ち

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東急レクリエーションが運営する109シネマズでは、感染拡大防止策として3月6日以降、原則1席ずつ間隔を空けてチケットを販売すると発表した。

さらに、ディズニー映画の3月13日公開予定だった「2分の1の魔法」や4月17日公開予定の「ムーラン」など、新作2本の公開延期も発表されている。そのほかにも「映画ドラえもん」などの延期が判明しており、春休みの子ども向け映画が大きな影響を受けている。

春休みの目玉「ドラえもん」は公開延期に

ある映画会社関係者は「(前作の興行収入が邦画5位と)春休みの目玉だった『ドラえもん』の公開延期は、映画館にとって影響が大きい。客足が遠のいている実感もある」と吐露する。

映画製作者連盟の岡田祐介会長は「2020年は目玉になる作品が少ない」と語る(記者撮影)

映画の配給は製作委員会に参加している複数社によって意思決定されるため、1社の判断だけでは公開延期はできない。それだけに大きな決定だったことがうかがえる。

新作映画の公開が延期されれば、コストも増加する。東宝の広報担当者は「新作映画が公開延期されれば、宣伝をやり直す必要や空いた枠を埋める必要もあり、影響は少なくない」と語る。そうしたコスト増加に加え、延期された作品が公開されたとしても、春休みなどかき入れ時を失えば、機会損失が発生する。

2020年の業績見通しについて、「影響の大きさはまだよくわからない」(東映広報)、「春休みシーズンで来訪者の多い3月が大きな影響を受け、前年比で客足は大きく落ち込んでいる。(長期化の可能性もあり)まだ影響は見通せない」(松竹広報)などと異口同音に話す。

今後、焦点となるのはTOHOシネマズなど規模の大きい映画館が休館に踏み切るかどうかだ。商業施設などに入館する映画館も多くあり、「自社の判断で一律の休館にすることはできない」(先述の映画会社関係者)。

しかし、政府などの方針次第では一気に休館へと突き進む可能性もありそうだ。

井上 昌也 東洋経済 記者

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いのうえ まさや / Masaya Inoue

慶應義塾大学法学部政治学科卒業、同大メディア・コミュニケーション研究所修了。2019年東洋経済新報社に入社。現在はテレビ業界や動画配信、エンタメなどを担当。趣味は演劇鑑賞、スポーツ観戦。

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