儲かるYouTuberに巨額広告マネーが流れ込む 嵐や宮迫も参入、地上波テレビをしのぐ必然
宮迫博之のチャンネルを運営するギルドの高橋将一代表は、「今のYouTubeを代表する存在がヒカキンなら、大人が楽しむYouTubeの象徴に宮迫さんがなれたら面白い。最大の誤算は江頭2:50さんが参入して、視聴者が分かれてしまったことだが」と笑う。
新たな芸人YouTuberとして宮迫と江頭が入ってきたことで、30代以上のテレビを見て育った層がYouTubeを積極的に視聴するようになるきっかけとなったことは、間違いない。
これまでYouTuberの動画を見るのは10~20代が中心だったが、芸能人進出を受けて30~50代が加速度的に増えている。「ネットは若者、テレビは大人」というすみ分けが崩れて大衆化が進行中だ。それはまた、最強の動画広告プラットフォームとして、盤石な地位を築くことにもつながる。
YouTube売上高1.6兆円のうち日本市場はトップ5
YouTubeを傘下に持つグーグルの主力事業は、検索連動型をはじめとするネット広告だ。その中でも「YouTubeはビジネスの根幹。グーグルは伸び盛りのYouTube広告をものすごく推してきた」(広告代理店幹部)。
グーグルは広告代理店と協業を図りつつ、直接、企業とも関係を築くことで「テレビ広告の予算枠の一部をネットにシフトしてもらってきた。テレビのCM動画をそのまま使えるので大手企業でも抵抗が少ない」と前出の幹部は続ける。
グーグルの親会社であるアルファベットが発表した2019年12月期のYouTubeの広告売上高は、前期比36%増の150億ドル(約1兆6000億円)と、グループ売上高の1割近くを占める。2019年10月10日配信の「成長止まらない『YouTube』ビジネス戦略の裏側」にあるように、日本市場は「収入の面でグローバルのトップ5に入る」(YouTubeの最高製品責任者ニール・モーハン氏)。
一方、2019年の日本における国内動画広告市場は、約2592億円(2019年予測、オンラインビデオ総研/デジタルインファクト調べ)。このうち動画広告のインストリーム広告は1079億円で、YouTubeは8割程度を占めるとみられる。
「おそらく芸能人チャンネルの広告単価は上がっていくだろう。テレビのように広告枠を買い取って掲載する形態も出てくるのでは」(サイバーエージェントの羽片一人・データ事業本部長)。グーグル日本法人は数年前から芸能事務所にアプローチすることで、芸能人のYouTube参入を仕掛けてきた。現在も芸能事務所を行脚してチャンネル開設を働きかけている。
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