セパージュ時代の到来(4)絶頂:国際展開《ワイン片手に経営論》第18回

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■旧世界型と新世界型セパージュ主義 国境と階級を越えて

 イタリアに、フレスコバルディ家という由緒正しい名家があります。

 その歴史は1092年ごろまで遡ることができます。フィレンツェを拠点とし、当時は銀行、羊毛、綿織物などの事業に携わり、七つの主要なギルド(中世の同業者組合)の一つでした。1300年にはワイン事業を開始します。この歴史はムートン・ロートシルトよりもはるかに長く、イタリアの中でも伝統的なワイナリーの一つです。これまで数千年のワインの歴史を振り返ってきましたが、ワインビジネスはいつの時代も、とてもROIの高いビジネスであったといっていいと思います。フレスコバルディ家にとっても、ワイン事業は、さまざまなビジネスの中でも、重要な一角になったに違いありません。

 ロバート・モンダヴィは、1995年にこの名高いフレスコバルディとジョイント・ベンチャーを起こしました。モンダヴィの両親は、イタリアの貧しい農家出身で、そのイタリアで雲の上の存在であったフレスコバルディ家と事業を行うことは、とても誇らしいことであったはずです。そして、このジョイント・ベンチャーで生まれたワインが「ルーチェ」でした。

 このジョイント・ベンチャーは、モンダヴィとフレスコバルディが50%ずつ資本を持ち、イタリアのトスカーナ地方でブドウ栽培をしてワイン造りをするというスキームでした。

 使用するブドウは、トスカーナ地方固有のサンジオヴェーゼと、国際品種といってよいメルローです。サンジオヴェーゼは、キアンティ、キアンティ・クラシコといったワインに使用されている、イタリアでも代表的な品種です。メルローは、フランス・ボルドーのドルドーニュ河右岸の地域で主体的に使用されていることで有名ですが、米国、チリといった新世界でも多く使われているセパージュ主義的な品種の代表格です。

 イタリアは、ワイン造りにおいてフランスよりも長い歴史をもつ伝統国ですが、そのワイン造りの思想は、どちらかというとセパージュ主義でした。イタリアのワインの多くは、その銘柄にブドウの名前を使っており、その思想が根ざしていることが分かります。単純化すると、ジョイント・ベンチャーの誕生で、旧世界型と新世界型セパージュ主義が手を組んだ、という構図が成立したのだと思います。

 フレスコバルディ家の社長ヴィットリオ・フレスコバルディは、このベンチャーについて次のように述べています。「旧世界と新世界の知見から恩恵をうけるためのプロジェクトである」と。

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