2つ目の理由は、2月に入ってから大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」が横浜港に停泊していたことだ。乗客乗員約3700人を乗せた同船では、連日感染者が増え続け、その様子はテレビなどを通じて世界中に報じられた。
同船が停泊していたのは大黒ふ頭で、横浜中華街からは離れている。だが、「毎朝のように横浜ベイブリッジとダイヤモンド・プリンセス号の映像がテレビなどで流れ、横浜の地理に詳しくない人は、(横浜中華街のそばにある)山下公園に停泊していると考えたのではないか」(石河氏)。
先がまったく見えない悩ましさ
追い打ちをかけたのが、安倍晋三首相が大規模イベントの開催自粛、さらには休校を要請したことだ。2月27日に横浜商工会議所が会頭記者会見を開いた時点でも、予想以上に客足が減っているとしていたが、その後さらに外出や外食自粛ムードが強まっている。
「現状では3分の1よりさらに人が減っているということはなく、下げ止まったまんま、というところ」と石河氏。こうした中、「店を開けなくても一定程度のコストはかかるが、営業しないほうがコストを抑えられるという選択から休業や時短、週末営業に踏み切る店が増えている」(石河氏)という。
悩ましいのは先がまったく見えないことだ。石河氏によると、2011年の東日本大震災時直後も今回と同じくらい客足が減った。が、このときはゴールデンウィーク頃には来街者が増え、2カ月で元通りになった。
一方、今回は今のところ国内外で感染者数が増え続けており、終息のメドが立たない状況にある。今後は外食や宴会の自粛に加えて、横浜赤レンガ倉庫など、近隣の施設で開催される予定だった大型イベントのキャンセルにより横浜自体に訪れる人が減ることが予想されるため、横浜中華街で一段と客足が遠のく可能性は否定できない。
招福門でも4月いっぱいまでキャンセルが発生しており、「ゴールデンウィークには回復するという見立てはとても立てられない。中華街には個人経営の店も多いので、この状況が後3カ月も続けば、全体の4分の1くらいは倒産とはいかないまでも営業を続けるのが難しくなるのではないか」(北村常務)。
だからと言って、感染拡大懸念やイベント自粛要請がある中で、「人を集めるような宣伝をすることはできない」(石河氏)状況だ。
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