「新型コロナ」は国際協調の契機となりうるのか 「感染症協力」をめぐる国際政治と「地政学」

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新型コロナウイルスによる感染症をめぐる対応に、国家間の対立や国際社会のパワーバランスが影響しているのはなぜなのか(写真:freeangle/PIXTA)
新型コロナウイルスをめぐっては、国家間の経済、産業、安全保障にも影響を及ぼすなど、一国にとどまらないグローバル化時代の対応が迫られている。
このたび上梓された『新しい地政学』の執筆者でもある筆者が、国際政治の観点から新型コロナウイルス問題を読み解く。

感染症が安全保障を脅かす

新型コロナウイルスへの対応をめぐっては、世界保健機関(WHO)への、中国の政治的な影響力や、中台関係、米中関係など、国際政治の争点が連動していることが注目を浴びてきた。感染症をめぐる対応に、国家間対立や国際社会のパワーバランスが大きく投影されているのである。

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それはなぜかと問えば、グローバル化時代の感染症の2つの特徴によるものであろう。

1つ目の特徴は、国家間の相互作用や人の移動が頻繁に行われる現在、一地域で発生する感染症は世界各地に瞬く間に広がり、経済、産業、安全保障などに多面的にインパクトを与えるということだ。

今回の新型コロナウイルスをめぐってはとくに、その安全保障への影響の大きさが目を引く。韓国では韓国軍や在韓米軍の兵士たちの感染が確認され、春に予定されていた米韓合同軍事演習が延期されることとなった。日本でも、自衛隊の間で感染者を出さないよう、細心の注意が払われている。

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