1つのビルに高単価、飲茶食べ放題、中華料理食べ放題の3業態と、宴会などで使える個室を擁する同社の店には日本人ツアー客も多いが、2月は140〜150人規模の予約キャンセルが相次ぎ、売り上げは前年同月比5割程度に落ち込んだ。
こうした中、同社は3月2日から13日までの臨時休業を決断。月に約2万人が訪れる大型店の2週間にわたる休業の決断は容易ではなかったが、「政府がこの1、2週間が感染予防の瀬戸際だとしており、これに営業自粛という形で協力したいというのと、お客さんや従業員の感染予防や食品ロスの低減を図りたいと考えた」(北村常務)。中華街で感染者が出た場合、街全体に影響が及ぶという懸念も背中を押した。
また、「3月上旬に、さらに売り上げが減る可能性があることを考えると、電気、ガス、水道、人件費などを考えたときに営業収支的に店を開けている意味がないと判断した」(北村常務)という。
春節頃から人が減り始めた
横浜中華街がほかの飲食店に先んじて新型コロナウイルスの影響を受けているのは、いくつか理由がある。
1つは、新型コロナウイルスが発生したのが中国で、日本で話題になり始めたのが春節時期だったことがある。横浜中華街内にある飲食店や事業社など約500店のうち約8割が加盟する横浜中華街発展会協同組合の専務理事、石河陽一郎氏によると、春節時期は本来なら、横浜中華街への来街者が約1.3倍に増える稼ぎ時だ。
ところが、新型コロナウイルスの報道が増えたことで、1月下旬から「多くの中国人観光客が訪れているのではないかという憶測から客足が減った」。実際は、中華街を訪れる95%が日本人で「わざわざ中国から横浜中華街に春節を祝いに来る人はあまりいない」(石河氏)が、風評被害の影響は避けられなかった。
また、例年この時期は80〜100媒体が中華街を取り上げるというが、今年はメディアの露出も激減。「取材依頼がきたとしても新型コロナ関連ばかりだった」(石河氏)。
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