バイデン氏「逆転」でも混迷する民主党候補選び サンダース氏を警戒、企業はトランプ支持

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リーマンショックや気候変動の影響、テロ・銃乱射事件の多発など、アメリカの若者は小さい頃からあまりいい経験をしておらず、富の格差の拡大によって、親の世代のようなミドルクラスの生活が遠のいている。「大学に入ってもホームレスになるような状況が、全米各地で起きている。将来に不安しかなく、社会に憤りを感じる若者が多い」(渡辺氏)。

そうした若者がエスタブリッシュメント層による政治に「革命」を起こそうとしているサンダース氏に共感し、支持者を増やしている。「国民皆保険」や「学生ローン帳消し」、「富裕層大増税」など政策は過激だが、それくらいやらないと今の社会は変わらないという考え方である。

若者人気が選挙での勝利に直結

人口動態的にも、いわゆる「ミレニアル世代」(1981~96年に出生)と「Z世代」(1997年以降に出生)は、今回の選挙から「ベビーブーム世代」(1946~64年に出生)を上回る最大の有権者グループになると言われている。それだけに若者人気は選挙での勝利に直結しやすくなっている。

サンダース支持層は、学生や教職員らが中心となってIT技術も活用しながら知人からその知人へと、非常にシステミックに草の根の支持層を開拓しており、「選挙戦術の緻密さと洗練さが格段に増している」(渡辺氏)。サンダースの選挙資金は平均20~30ドル程度の小口献金が多いが、それでも2月に集めた資金は4650万ドル(約50億円)とバイデン陣営を大幅に上回ったという。

加えて、「前回の大統領選ではサンダース支持者はほぼ白人のみだったが、今回はヒスパニック系などの支持がかなり増え、女性や幅広い移民からの支持も増えている」(渡辺氏)。そこに大きく貢献しているのが、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員の存在だ。

プエルトリコ系労働者階級の家庭に生まれ、大学卒業後もNYブロンクス区でウエイトレスをしていた同氏は、2018年に女性として史上最年少の29歳で下院議員に当選し、メディアの注目を浴びた。その同氏がサンダース陣営の応援団長となっており、サンダース氏と並んでポスターにも写っている。ヒスパニック系の支持拡大は、同系住民の多いカリフォルニア州やテキサス州におけるサンダース氏善戦の一因となっている。

「サンダース氏ではトランプ氏に勝てないと言われるが、かつてのレーガン氏やオバマ氏、トランプ氏にしろ、最初はそう言われていた。ありえないことが起こるのがアメリカの選挙。民主党内の融和を図れれば、(トランプ氏に勝利する)可能性がないとは言えない」(渡辺氏)。

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