栄養学博士が教える自分の免疫を高める食事法 ウイルスに負けない体づくりの秘訣とは何か
では、緑茶の種類は何でもよいのでしょうか。
緑茶と言っても、急須を使って茶葉とお湯でお茶をいれて飲む場合もあれば、ペットボトルなどに入ったお茶を飲む場合もあります。
このようなお茶の種類によって、抗ウイルス効果が期待できるカテキン類の量に違いはあるのでしょうか。茶カテキンには複数の種類がありますが、とくに抗ウイルス効果が期待されるカテキン類は、EGCG(エピガロカテキンガレート)とECG(エピカテキンガレート)です。
この2つの合計含有量は、研究データを見る限り(参考文献3と参考文献4) 、抽出したお茶のほうが一般的なペットボトルなどのお茶よりも多いという結果(1ml当たり。概ね3倍)になっていました。
なお、紅茶やウーロン茶にもカテキンは含まれますが、発酵の過程でカテキンの量が減少してしまいます。抗ウイルス効果という点では、同じ量のお茶を飲むのであれば、急須に茶葉と湯を入れて抽出した緑茶がおすすめです。
バランスのとれた食事が大切
緑茶に抗インフルエンザ成分が含まれているからといって、緑茶ばかり飲んでいては、栄養素が不足して免疫力が落ちてしまいます。免疫賦活作用のある成分は、ヨーグルト以外にもきのこやパン酵母、海藻などに含まれる成分もあります。
また、プレバイオティクスとしてオリゴ糖や食物繊維を摂取することが腸内フローラの状態をよくすることにつながり、免疫力を高めることに貢献します。カテキンの作用も乳酸菌の作用もバランスのよい食事があってこそ生かされるものです。こうしたことを考えるとバランスよく食べることの大切さが見えてくるのではないでしょうか。
日本人が不足しがちな栄養素を摂取することを目的に考えるとバランスよく食べるためのポイントは、4つあげることができます。
乳製品をとること
肉・魚・卵・豆製品(豆腐など)の中から毎食100グラム程度を食べること
果物を食べること
食品に含まれる栄養素がヒトの体の中で効率的に利用されるには、さまざまなほかの栄養素が必要です。そのため日頃の食事は、エネルギー(炭水化物、脂質)、タンパク質、ビタミン、ミネラルの適切な量(多すぎでも少なすぎでもない量)を摂取することが大切です。この場合、炭水化物の量は、1食あたり軽くご飯1杯(120~150g程度。成人で1日あたりのエネルギー摂取量が1800kcal程度の場合。)ほどがよいでしょう。
緑黄色野菜には、抗酸化作用が多く含まれていますし食物繊維をとることもできます。乳製品は、日本人に不足しがちなカルシウムを摂取することができます。カルシウムは、骨を構成するだけではなくホルモンの分泌調節や筋肉の収縮などさまざまな生体機能の調節に必要な栄養素です。
ヨーグルトは牛乳を飲むとお腹が緩くなりがちな人でも乳糖が分解されているため症状が出にくく、おすすめの食品です。果物は、ビタミン(とくにビタミンC)、ミネラル、食物繊維を含んでいます。
毎日の食事に乳製品と果物を取り入れることで、自身の免疫力を高め、ウイルスに負けない体づくりを目指しましょう。
(2)Song J M, Lee K H, Seong B L. Antiviral effect of catechins in green tea on influenza virus. Antivir. Res. 2005, 68, 66–74.
(4)吉川秀樹、ほか「ペットボトル緑茶のカテキン、カフェイン、テアニン含量」京都光華女子大学短期大学部研究紀要,55,67-72 (2017)
【2020年3月13日17時00分追記】初出時、参考文献(1)と(2)の表記に一部誤りがありましたので上記のように修正いたしました。
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