入試直前の受験生「準備も感染も」強すぎる不安 学年末試験の中止などで高校1、2年生も動揺

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大学入試では文部科学省が感染した受験生に配慮するよう呼びかけたが、国公立大学の対応は割れた。東京大学は感染者を受験不可とし、救済措置もとらなかった。京都大学でも受験生が感染して入試を受けられなかった場合の救済措置をとっていない。一方、北海道大学、佐賀大学、鹿児島大学、名古屋工業大学などは、センター試験や調査書の内容などで合否を判断するといった特例措置を設けた。

そして政府が学校の休校を要請し、教育界に激震が走る中で、ピークを迎えるのが公立高校入試だ。ほとんどの地域が3月前半から入試を実施する。

文科省は2016年、インフルエンザに罹患(りかん)した生徒が受験機会を確保できるよう要請し、以降多くの自治体で追試が行われるようになった。新型コロナウイルスに対しても、この「インフル追試」に準じて対応するところが多い。

ただ、新型コロナウイルスはウイルスの感染力や潜伏期間などまだわからない部分が多く、石川県は感染者の体調不良が続くようであれば、病院で追試を受けることを認めるなど、より柔軟な対応を決めた。

受験生に「風邪なら休んで」とは言えず

ただ、現状は検査対象が狭いこともあり、実際には新型コロナウイルスで入試を受けられない受験生はそれほど出てこない可能性が高い。むしろ心配なのは、多くの受験生や関係者が1カ所に集まり、感染の危険が高まるリスクだ。

政府は風邪や体調が悪い人には出社を控えるよう呼び掛けているが、一発勝負の入試に挑む受験生に対して「風邪なら休んで」とは言えないだろう。そして少々の体調不良なら、受験生は薬を飲んで強行参加することも予想される。

入試会場では塾関係者がのぼりなどを持って応援するのがお決まりの風景となっているが、これも感染予防の観点からは望ましくない。九州の予備校講師は「センター試験と国公立の二次試験は応援に行った。公立入試をどうするかは、まだ勤務先から通知がない。けれども、ほかの塾が行くなら自分たちも行かないわけにはいかないと思う」と話す。

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