民主党政権と日米同盟、ある種の緊張の高まりはあるが同盟関係破綻には程遠い
マーク・トウェインは自分の死亡を誤報された際、こんなジョークを飛ばしたことがある。
「私が死んだという報道には重大な誇張がある」
日米同盟についても同様のことが言える。今年の8月、総選挙で民主党が圧勝した。それ以来、日米双方で、日米間の協力関係は崩壊に向かっている、という恐ろしげな予想を口にする人が絶えない。
だが、その可能性は極めて低い。確かに日米間には緊張がある。たとえば沖縄の米軍基地問題だ。しかし、日米同盟のプラス面はマイナス面をはるかに上回る。鳩山由紀夫内閣もバラク・オバマ政権も、同盟関係の強化に努めているように見える。
来年は日米安全保障条約が60周年を迎える。日米同盟は長い年月持続してきたが、それには、同盟が両国の国益にかなっているという合理的な理由がある。日米は多くの分野で課題と目標を共有している。
多くの点で利害が一致
両国とも、いかなる国もアジアの支配的な勢力とならないことを希望しており、中国の東アジアにおける影響力の野放図な拡大を抑えたい。また、軍事衝突や海賊によって邪魔されない自由なシーレーンを確保する点でも利害を共有する。
両国とも、核兵器の拡散、とりわけ北朝鮮による核拡散の阻止を願っており、イランの核開発阻止にも関心が高い。また、北朝鮮の安定にも共通の利害を有しており、金正日体制が崩壊して混乱が生じた場合、韓国とも協調しながら一致した対策が必要だと考えている。日米は、テロとの戦いでも利害を共有し、アフガニスタンの安定化、核保有国のパキスタンでのイスラム過激主義の蔓延阻止でも一致している。
両国はまた、技術開発による地球温暖化防止でも利害を共有する。
これらの課題は両国の平和と繁栄の基盤をなすもので、民主党政権下でも変わらない。確かに日米同盟における重点は多少変わるかもしれない。だが、緊密な日米関係が必要だという理論的根拠に変化はない。それは、ドイツや英国で社会民主主義政党と保守政党との間で政権交代があっても、米国との同盟関係に大きな変化が生じないのと同じだ。