民主党政権と日米同盟、ある種の緊張の高まりはあるが同盟関係破綻には程遠い
民主党が政権に就いて以来、日米両国政府間のコミュニケーションが完全に順調だったとはいえない。民主党が政権運営に慣れるには、それなりの時間が必要だ。また、日本では強固な官僚機構が国家統治に過大な役割を行使することが常態化してきたが、鳩山政権は官僚機構を抑制しようと努めている。従来日米同盟の運営で、米国政府関係者は主に日本の官僚機構を相手に調整を行ってきた。今後、日本側では政治家がより大きな役割を果たすことになる。
だが、米国政府関係者の多く、特に国防総省関係者は、従来のやり方から抜け出すことができず、日本側が米国の要求に容易には応じなくなっている現状に驚いているようだ。
国務省と国家安全保障会議(NSC)は、鳩山政権との齟齬(そご)について重大視しない態度をとろうと努めてきた。「米国にとって、今や日本のほうが中国より扱いにくい」と語ったと匿名でワシントン・ポスト紙に引用されたある国務省高官について、NSCのジェフ・ベーダー・アジア上級部長は公然と冷笑してみせた。
北朝鮮問題に関しては、前政権下でのクリストファー・ヒル国務次官補による秘密裏の交渉戦略によって、日本および韓国との協調関係がひどく損なわれたが、オバマ政権はこれを修復しようと熱心に取り組んできた。スティーブン・ボズワース北朝鮮問題担当特別代表は、近く北朝鮮を訪問することになっている。
ベーダー氏は、ホワイトハウスで最近行われた記者会見で、日本がアフガンとパキスタンに対して最大級の援助を実施している点で日本を賞賛した。鳩山内閣は、これまで自民党の政府が何代にもわたって実施してきたインド洋での給油活動を延長しないと言明している。日本国民の多くが、これらの活動は米国が遂行しているイラク戦争との境界がはっきりしないと考えており、政府関係者、政治家、一般国民の多くがイラク戦争に反対している。
だが、鳩山首相が給油を中止したとしても、インド洋の艦船をアラビア海に移動させて海賊対策に当たらせるとともに、一般人によるアフガンとパキスタンでの援助活動を拡大させるなら、米国政府が歓迎する可能性は高い。