糖尿病患者に期待の新薬、1300万人の巨大潜在市場を狙う

 魅力的な日本市場 攻勢に拍車掛ける外資

すでに1600万人以上が同薬を服用している米国では、「1日3~4回の服用回数が1回に減るなど、患者の負担を軽くしている」と、米国クリーブランド病院のセス・レディ医師は話す。日本でも、「過剰な期待は禁物だが、特に比較的早期の患者に有効で、副作用が少ない点は評価できる」と、糖尿病治療の権威で、関西電力病院の清野裕院長も新薬に対し期待を寄せている。

メルクでは、このDPP−4阻害薬の08年売上高が世界で17億ドル(約1530億円)と、同社全体の7%を占めるまでに成長。糖尿病・肥満症領域マーケティング責任者であるリアド・エル-ダダ氏は、「日本でも臨床試験を徹底的に行い、海外と同等か、より効果的と判断した」と自信を見せる。子会社の万有製薬は、ジャヌビア担当に自社MR(医薬情報担当者)の約6割を充てるほどの力の入れようだ。

メルクの世界的成功に触発され、他社もインクレチン作用系の開発を急ぐ。DPP−4阻害薬ではノバルティスファーマ(スイス)と武田薬品が国内で申請中。同じインクレチン作用系である「GLPアナログ」ではノボノルディスクファーマ(デンマーク)や日本イーライリリーも申請中。顔ぶれは外資が中心だ。

糖尿病領域において、これほどまでに注目を集める日本だが、日本メーカーの目は、逆に海外に向いている。医療費抑制のあおりをもろに受ける国内と比べ、米国や中国・アジアなどは今後も大きな成長が見込めるためだ。「今後の発展を考えると海外を狙わない理由がない」(多田正世・大日本住友製薬社長)という発言が示すとおり、国内各社は海外展開の足場固めに多くの精力を注いでいるのが現状だ(下表)。 

 

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カーリング人気萌芽の時代から、平昌五輪での銅メダル獲得まで戦い抜いてきた著者。リーダーとして代表チームを率いつつ、人生の一部としてカーリングを楽しめるにまで至った軌跡や、ママさんカーラーとして子育てで得た学びなどを語る。