なぜそのような偏りが起きるのだろう。
連載第6回は、初の男性の事例だ。産後、産休・育休を経て、奥さんが職場復帰した後から、家事・育児全般を担当。昨年自身の父親が倒れてからは、キーパーソンとして介護に携わってきた男性の事例から、ダブルケアを乗り越えるヒントを探ってみたい。
父親が脳梗塞で倒れた
「え! 父さんが救急車で運ばれた?」
岐阜県在住、30代の大森亮さん(仮名)は昨年、母親から突然の電話を受け、思わず大きな声を出した。長男である大森さんは、いずれは両親の面倒を見るつもりで、実家からそう遠くないところで暮らしている。時々行き来しているし、70代になったばかりの父親はまだ元気だと思っていたので、まさに青天の霹靂だった。
聞けば、前日に出先からの帰り道で、父親は突然目が見えにくくなり、帰宅してから病院を受診。病院ではCTを撮ったが、画像からはとくにおかしいところは見つからず、帰宅。しかしその翌朝、いつも起きてくる時間になっても父親が姿を見せないので、様子を見に行った母親が異変に気づき、救急車を呼んだのだ。
父親は、脳梗塞だった。前日に目が見えにくくなったのは、「虚血性脳梗塞(一過性脳虚血発作)」といって、症状が一時的に起こり、短時間で消失するタイプの脳梗塞だったため。CTに何も映らなかったのもそのせいだった。大森さんが急いで病院へ駆けつけると、「最初の1カ月は安定しないので、いつでも連絡が取れるようにしておいてください」と医師から言われる。
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