新型肺炎で生まれた中国イノベーションの実力 AI顔認識で発熱した人を特定、AR診療も登場

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自分が利用した地下鉄や飛行機などの日時と便名、エリアを入力すると、同じルートに感染者がいたかどうかがわかる。このツールは、自分や周りの人々にウイルスが潜伏しているかを知るうえで参考になる。すでに正式に稼働しており、毎日更新されている。

中国EC最大手、アリババグループ系の電子決済アプリ「支付宝(アリペイ)」は、新型肺炎に関する中国各地のリアルタイム情報や中央テレビの報道を確認できるだけでなく、オンラインで寄付や問診、薬の購入もできる。

360公司のような「患者同行程照会ツール」も備えるほか、厳しい外出制限によって従来どおり学校に通えない家庭向けには、「在家学」というオンライン学習カリキュラムを提供中だ。

オンライン学習プラットフォームのVIPKIDも、4~12歳の子どもを対象に、オンライン学習カリキュラムを2月10日から順次、無償で提供している。科目は英語と数学で、カリキュラム数は150万だ。なお同社は、アリババに並ぶ中国IT大手のテンセントなどから出資を受けており、イギリスのオックスフォード大学出版局とも提携している。

ARグラスでオンライン医療を実現

医療機関を支えるテクノロジーも続々登場している。

北京の亮亮視野科技(LLVISION)は、武漢市中心病院や鄭州市第二人民病院などに対し、ARグラス「GLXSS」とオンライン医療システムを合計25セット寄付した。

診療所やクリニックの医療スタッフはGLXSSを装着することで、遠方の専門家に対して現場の映像をリアルタイムに共有できる。声で指示を出せば写真撮影やカルテの取り出しが可能で、専門家とビデオ通話もできる。

5Gネットワークのもとでは、通信速度がボトルネックになることはない。救急車のなかでスタッフがGLXSSを使って病院の専門医師とリアルタイムのビデオ通話をすれば、救急患者を救える可能性も高まる。

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スマートロボット・ベンチャーの達闥科技(CloudMinds)は、中国移動(チャイナモバイル)と協力し、武漢協和病院と同済天佑病院に5Gスマートロボットを寄付した。サービスロボットと消毒清掃ロボットだ。

チャイナモバイルの5Gネットワークのもと、サービスロボットは病院のロビーで案内をしたり、感染防止のための情報を発信したりする。消毒清掃ロボットは指定されたルートに沿って消毒清掃を行うだけでなく、感染エリア内で医薬品配送を担う。中国のSNSでは、「医療スタッフたちは連日の残業で疲れ果てている。ロボットが彼らの負担を軽減できれば」といった声があがった。

中国テック企業の取り組みが、コロナウイルスの蔓延に苦しむ一般市民や医療関係者を助けている。そのなかに日本企業が生かせるヒントがあるはずだ。

王 沁 華和結ホールディングス CEO

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オウ シン / Alex Wang

中国陝西省漢中市出身。2010年に来日し、慶應義塾大学商学部に入学。在学中にコンテンツ商社「JCCD.com」などを運営する華和結ホールディングスを設立。
大学卒業後、同社を経営しながらリクルートホールディングスに入社。数多くのメインブランドのCRM、企画運営、中華圏企業との提携交渉、投資検討などを経て、プロダクト統括本部・新規事業統括に配属される。
2021年にリクルートを退社。現在は、華和結ホールディングスCEOとして、「JCCD.com」の他、AI・人工知能プラットフォームの「AiBank.jp」、グローバルタイムシェアプラットフォーム「Time-X」など複数の事業を経営し、自身の会社でアプリ開発も行っている。

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