Twitterに活路見たスポーツ紙デスクの発信術 載せきれない情報を載せ、反応もダイレクト

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――所属の会社、個人名を明記したうえでの投稿なので、当然責任が伴いますから、そういうルールは必要でしょうね。

当初、力士たちの投稿を見るだけだったので匿名のアカウントでしたが、やり始めてから半年後くらいにある出方さん(※2)から「メディアの人がTwitterをやるなら、実名のほうがいい」とアドバイスをもらってから名前を出しています。ただ当時、会社には社員のTwitter運用に関する明確な規定がなかったので、自分で設けるしかなかったんですよね。

(※2)相撲茶屋の店先で客を席に案内したり、飲食物の注文を受けたり、お土産を運ぶ役割

日刊スポーツの看板があるから、私はいろいろな情報を手に入れられます。それを披露する場は紙面やウェブであることが大前提で、まずはそこに向けて書き、その先にTwitterがある。

でも、それでは速報という点では遅いですよね。なので、引退や訃報といった大きなニュースがあれば、まずはTwitterに事実だけを流して、「詳細はのちほど」と加える。ウェブの記事が出来上がったら、さらにそれを伝える。この流れが、今はベターかなと考えています。

紙面では出し切れていない記者の力、Twitterは武器

――Twitterを始めて9年、ご自身の運用や考えを柔軟に変化させていますね。

このnews HACKの別記事で明石ガクトさんが、「個人が大きな発信力を持てるようになり、さらに個人の発信力が高まるほどその人物を輩出したメディアも影響力を高めるはずです」と、おっしゃっています。

本当にこのとおりです。記者は書く訓練を毎日受け、「書ける力」を備えていますが、その力をすべて紙面で出し切れているとはいえません。また、記者はどうも職人気質で、自分からネット上に発信することをどこか恥ずかしがっています。私は、「書ける力」を出し切るために記者はみんなTwitterをやったらいいと思いますね。

――記者にとってTwitterが、スキルを伸ばす手段であり、メディアの武器の1つというわけですね。

2010年から3年間、相撲担当記者だった佐々木さん。現在の立場はデスクだが、合間を縫って相撲の現場から得た情報をつぶやき続けている(写真:ご本人提供)

発信力を持った記者が集まれば、すごいパワーになるはず。新聞業界は部数が下がり続けている現実がありますが、その打開策の一つにもなるとも思います。書いたものを読んでくれ、という待ちの時代ではありません。

また記者は、取材内容でどれだけの紙面の分量になるかが、なんとなくわかってしまいます。そうなると、そこで取材をやめてしまうことがあります。でも、Twitterをやっていると、「Twitter用にこぼれ話、聞いちゃおうかな」と、取材が能動的になるきっかけになることもあるんですよね。

それが別のニュースの種になり、人脈にもつながります。ぜひ、記者はTwitterをやってほしい。でも、フォロワーを増やすことに躍起にならない、「いいね」を欲しくならないのが、大事です(笑)。

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