Twitterに活路見たスポーツ紙デスクの発信術 載せきれない情報を載せ、反応もダイレクト
――ダイレクトに反応がわかる反面、ユーザーとの距離が近くなることによる「怖さ」はなかったですか。
始めた当初から、そういうのはあまりなかったですね。相撲協会からはメディア向けのリリースはありましたが、Twitterなどネット上の情報発信はなかった。そのリリース自体、紙面には限りがあったのですべて載せることはできず、載せきれなかったことをTwitterで発信していました。
ただ、中には「協会の人事に関することをあなたが発信していいのか」と、反発がありました。しかし、それ自体オフィシャルの情報なので、別に外に出してもいいこと。それまで紙面に載らなかったすごくニッチ、例えばある呼び出し(※1)が序ノ口から序二段に上がったとかそういうニュースです。
こういうものはこれまで表に出ることがなかっただけに、反発があったのかなと思います。一方でニッチな情報を喜んでくださるファンもいて、新聞に載らない小さなニュースでも重宝してくださる方はいるんですよね。
(※1)対戦力士の呼び上げや懸賞幕の出し入れ、土俵づくりを行う役割
――どんな情報でも求めている人はいると思ってのTwitter、なのですね。
根本は相撲を好きになってもらいたいとの思いで続けています。それが巡り巡って日刊スポーツのためにもなるだろうと。ただ、ずっと悩んでいるのは、個人でどこまで出していいのかと。日刊スポーツの記者なので、何かあれば紙面やウェブに書くのが本筋。その上で何をTwitterで発信するのか。闇雲に個人でなんでも発信してはダメだと思っています。
とはいえ、やっている本人が楽しいと思ってやらないと、続きませんよね。そのさじ加減は常に考えていて、今もその途中ですね。
実名だけど自分を出しすぎない、Twitterも相撲が主役
――相撲界のデジタル化はどのような状況でしょうか。
協会のTwitterは2011年10月に始まり、今ではYouTubeチャンネルもあります。場所中はAbemaTVが面白い番組作りをしていますよね。ただ、すべてのデジタルコンテンツが相撲にフィットするかは、なんともいえません。伝統を守り続けることも大相撲の魅力です。すべてをさらけ出すことがいいのか悪いのか、さじ加減は難しいと思います。