Twitterに活路見たスポーツ紙デスクの発信術 載せきれない情報を載せ、反応もダイレクト

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――ダイレクトに反応がわかる反面、ユーザーとの距離が近くなることによる「怖さ」はなかったですか。

元横綱で相撲解説者・北の富士勝昭さんをTwitterにアップ(画像:https://twitter.com/Ichiro_SUMO/status/265285222587842561

始めた当初から、そういうのはあまりなかったですね。相撲協会からはメディア向けのリリースはありましたが、Twitterなどネット上の情報発信はなかった。そのリリース自体、紙面には限りがあったのですべて載せることはできず、載せきれなかったことをTwitterで発信していました。

ただ、中には「協会の人事に関することをあなたが発信していいのか」と、反発がありました。しかし、それ自体オフィシャルの情報なので、別に外に出してもいいこと。それまで紙面に載らなかったすごくニッチ、例えばある呼び出し(※1)が序ノ口から序二段に上がったとかそういうニュースです。

こういうものはこれまで表に出ることがなかっただけに、反発があったのかなと思います。一方でニッチな情報を喜んでくださるファンもいて、新聞に載らない小さなニュースでも重宝してくださる方はいるんですよね。

(※1)対戦力士の呼び上げや懸賞幕の出し入れ、土俵づくりを行う役割

――どんな情報でも求めている人はいると思ってのTwitter、なのですね。

根本は相撲を好きになってもらいたいとの思いで続けています。それが巡り巡って日刊スポーツのためにもなるだろうと。ただ、ずっと悩んでいるのは、個人でどこまで出していいのかと。日刊スポーツの記者なので、何かあれば紙面やウェブに書くのが本筋。その上で何をTwitterで発信するのか。闇雲に個人でなんでも発信してはダメだと思っています。

とはいえ、やっている本人が楽しいと思ってやらないと、続きませんよね。そのさじ加減は常に考えていて、今もその途中ですね。

実名だけど自分を出しすぎない、Twitterも相撲が主役

――相撲界のデジタル化はどのような状況でしょうか。

協会のTwitterは2011年10月に始まり、今ではYouTubeチャンネルもあります。場所中はAbemaTVが面白い番組作りをしていますよね。ただ、すべてのデジタルコンテンツが相撲にフィットするかは、なんともいえません。伝統を守り続けることも大相撲の魅力です。すべてをさらけ出すことがいいのか悪いのか、さじ加減は難しいと思います。

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