自衛隊の「不発弾処理隊」のスゴイ仕事っぷり 那覇駐屯地所属の処理隊は1日2回の出動も
毎年、1500件前後の処理数、50トン前後の処理重量をこなしている中で、誇るべきは全国にある4つの不発弾処理隊のすべてで、過去一度も事故を起こしていないこと。命を落とす可能性もある、危険と隣り合わせの現場にもかかわらず、なぜ一度も事故を起こさずにやってこられたのでしょうか。
那覇駐屯地、第101不発弾処理隊・隊長(当時)の錦織康二さんは、
「40年無事故の秘訣は難しい。言えることは、一人ひとりが失敗したくないという思いを持ち続けること。その思いのもとで自分の技術を磨き、1回1回の処理においてミスもあるが、それを反省し、次に同じ失敗を犯さないように次へ進んでいく。それを繰り返し続けてきたことが無事故でこられた理由だと思います」
と話してくれました。錦織さんは処理隊生え抜き、たたき上げの隊長で、隊員たちの信頼も厚い方。数々の現場の第一線を経験してきただけに、その言葉には重みがありました。日々の任務を黙々とこなしていくその先に、40年無事故という勲章が後からついてきたのだということを実感しました。現場で働く隊員さんたちにインタビューした際の声をいくつかご紹介しましょう。
隊員たちの声
「処理でプレッシャーがかかることはない。手順も決まっている」「各隊員の役割分担も決まっているので、チェックをしている」「誰かが大きな間違いをしない限り、緊張しながらも淡々と作業を実施している。普段から意志の疎通を行っていることがうまくいく秘訣かなと」「40年安全なのは、伝統が継承されている。先輩から引き継がれたもの」「事前の勉強・訓練が無事故につながっている。現場でヒヤッとしたことはない。その前に先輩が止めてくれる」――。
その言葉に気負いはなく、日々の任務を黙々とこなしていくことが、安全につながっていることが伝わってきました。何かもっと秘訣はないのか? 食い下がって、ゲン担ぎとかしてないんですか? なんて会う人会う人に聞いたりしたのですが、皆さん苦笑しながら「そんな特別なことはしてませんよ」と答えるだけでした。
40年に及ぶ知識と経験を継承し、それを隊員同士で共有する。発足以来続く、その繰り返しと、日々の鍛錬こそが事故を起こさない、不発弾処理の現場を支えているのですね。むしろ、何か特別なことをして流れを乱すことのほうを嫌がるという、職人気質のようなものを感じました。
しかしながら、不発弾の処理に絶対はない。命を落とす可能性もあります。隊員たちは、そんな危険な任務に就くことをどのように思っているのでしょうか。怖くないのでしょうか。
「怖さはもちろんある。いちばん怖いのは構造や中身がわからないこと」「チームが危険性を共有し、処理の仕方を共有する。全員が処理方法に納得するのが基本。納得したうえで処理を行うことが大切」
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