「覚えるのが苦手な人」が記憶力を高める方法2選 「頭が悪い」は生まれつきのものではなかった

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数学の公式をしっかり覚えていたのに、試験で間違えてしまったなんてことはありませんか? それは、真の意味で理解できていなかったためです。

公式を「こういうもの」だと、ただルールとして丸暗記し、数字を当てはめて使うことができるようになっても、それはうわべの知識でしかありません。さらに丸暗記できたとしても、意味がわからないままでは、覚えたその場からどんどん忘れてしまい、無意味です。

脳にしっかりと記憶し、それを活用できるようにするには、「理解」がベースにないといけません。「理解なき暗記」は非常に脳に負担をかけます。

「こういう理由でこうなるのか」と、公式が意味していることを理解し、さらに「なぜそうなるのか」を人に説明できるようになると、その情報が脳の深部にまで届き、習得できます。習得できれば、応用が利くようになり、さまざまな問題に対応できるようになります。

また、「ああ、なるほど」と腑に落ちると、脳も心もスッキリします。脳は「快」が大好きなので、気持ちよかったことはしっかり憶えます。「なるほど。わかった!」という感覚が、とても大切なのです。その感覚が起きないと、真には脳に入っていきません。

「なぜそうなるのか」を問いながら学ぶのは、遠回りに見えるかもしれませんが、これこそが物事の核心に一気に迫り、同時に脳の中にその情報が刻み込まれる王道です。

多少時間がかかったとしても、理屈を理解し、感覚的にも納得するという手順を踏むことで、結果として、将来、忘れてしまって何度も憶え直したり、憶えたはずなのに使いこなせなかったりといった事態を引き起こすこともなくなります。理解することで、脳に刻まれるというわけです。「憶えよう」とするのではなく、「理解しよう」という意識で取り組みましょう。

自分の脳に対して自信を持つ

最後に、お伝えしたいことがあります。

記憶力を高めるうえで何よりも大切なのは、自分の脳に対する自信を持つことです。

『頭がいい人の脳の使い方』(あさ出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

自分の脳に自信がないと、常に何かをやろうとするたびに「無理」という意識が出てきてしまい、知識の吸収ができませんし、チャレンジしようという気持ちすら持てなくなってしまいます。

あなたが今、どんな状況であっても自分の脳を信じてください。そのうえで、脳の正しい使い方を身につけ実践することで、いろいろなことがどんどん変わります。

まずはここで紹介した2つの方法から始めましょう。

これは、子どもから大人まで、それこそ88歳の方も含む4万人以上の方が体験し、結果を出しているものです。自信を持って実践してください。

小田 全宏 一般社団法人アクティブ・ブレイン協会 会長

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おだ ぜんこう / Zenko Oda

1958年滋賀県彦根市生まれ。東京大学法学部卒業後、(財)松下政経塾に入塾。経営の神様、松下幸之助翁の薫陶を受け、人間学を研究。1986年より人間教育の研究所を立ち上げる。1991年(株)ルネッサンス・ユニバーシティを設立。2003年より画期的な能力開発の手法である「アクティブ・ブレイン・プログラム」を創始。また認定NPO法人「富士山を世界遺産にする国民会議」を2005年に立ち上げ、運営委員長として2013年の世界遺産登録に尽力する。2019年に一般社団法人「ジャパン・スピリット協会」を設立し、日本の素晴らしい心を世界に発信する活動を開始。その他いくつものNPO法人を運営し、社会企業家としての活動を展開している。編著書多数。

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